横浜市内から小川町・寄居方面へ、都心経由とJR線経由を乗り比べた

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東武東上線の新駅、みなみ寄居(ホンダ寄居前)駅が10月31日に開業した。新駅は小川町駅より先の東武竹沢~男衾間に設置されたが、東上線はさらに先の寄居駅まで通じており、JR八高線・秩父鉄道と接続している。

開業前日の10月30日、筆者はみなみ寄居駅で開催された開業式典を取材した。横浜市在住の筆者にとって、横浜駅を起点に小川町方面へ向かう場合、東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線の乗り継ぐルートと、都心を経由せず、JR横浜線・八高線の乗り継ぐルートの2つが考えられる。そこで今回、横浜~小川町・寄居間の往路を都心経由、復路をJR線経由で移動し、それぞれの乗車時間や運賃などを見てみることにした。

■東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線経由で小川町駅へ

往路は都心経由のルートを進むため、まずは東急東横線を利用。横浜駅を5時台に発車する和光市行の各駅停車に乗車した。反町駅発車後、地上に出てもまだ夜が明けておらず、中目黒駅付近でようやく明るくなってきた。渋谷駅手前で地下に入り、そのまま東京メトロ副都心線に乗り入れ、和光市駅に到着した。

この列車はほぼ始発に近い時間帯に運行され、特急・急行との待ち合わせもなかった。待ち合わせが発生する場合、東横線内ではおもに菊名駅と自由が丘駅、副都心線内では渋谷駅か東新宿駅で各駅停車が追い抜かれる。時間帯によっては東横線の元住吉駅・祐天寺駅でも通過待ちが発生する。

和光市駅から先は東武東上線の急行に乗り換え、終点の小川町駅まで乗車した。東武東上線は池袋駅を起点としているが、池袋~和光市間は東京メトロ有楽町線・副都心線と並行しているので、無理に池袋駅で乗り換える必要はない。小川町行の急行は和光市~志木間の複々線を快走した後、JR川越線と接続する川越駅などに停車しつつ、通勤時間帯の東上線をひたすら西へ進む。

終点が近づくにつれ、沿線はのどかな風景になる。武蔵嵐山~小川町間では、途中に嵐山信号場があり、ここから線路が単線になる。その直後、山を迂回するように大きくカーブ。進行方向左手から来るJR八高線と交差し、終点の小川町駅に到着した。

■東武東上線小川町~寄居間、4両編成の8000系に乗る

みなみ寄居駅の開業式典を取材し、いったん小川町駅に戻った後、お昼すぎに東武東上線の小川町発寄居行の列車に乗った。東上線は小川町駅で運行系統が分断されており、寄居方面へ向かう際は乗換えが必要となる。小川町~寄居間は4両編成の8000系が運用に就き、小川町駅を発車すると埼玉県中西部の山間部を走る。

開業前のみなみ寄居駅は通過。鉢形~玉淀間で荒川を渡り、玉淀駅を発車すると左に大きくカーブする。進行方向右手からJR八高線と秩父鉄道の線路が見え、寄居駅に到着した。小川町~寄居間の所要時間は約15分だった。

寄居駅は東武東上線、JR八高線、秩父鉄道の3路線が接続し、池袋駅、熊谷駅、八王子駅、高崎駅など各方面に線路が通じている。地図上で見ると主要駅のように見えるが、全体的に列車の本数が多くないため、乗換えの時刻には注意したい。

平日の日中時間帯、寄居駅に停車する列車の本数を見たところ、東武東上線は1時間あたり2本、秩父鉄道は上下線ともに1時間あたり1~2本、JR八高線は上下線とも1時間あたり1本だった。冬の待ち時間はとくに冷え込むので、出かける際は防寒対策もしておくとなお良いかもしれない。

■首都圏では珍しい非電化区間を経由し、横浜方面へ

本数は多くないものの、3路線の列車が行き交う寄居駅は鉄道ファンにとって飽きの来ない駅でもある。秩父鉄道に関しては、急行「秩父路」や「SLパレオエクスプレス」(SLは全般検査のため2020年は運休)などの列車も停車するため、一度は訪れたことのある人が多いのではないかと思う。

筆者は寄居駅周辺で3時間ほど過ごし、帰りのルートとしてJR八高線・横浜線を利用した。八高線は高麗川~倉賀野間が非電化区間(列車は高崎駅まで運行)となっており、気動車のキハ110系により運行されている。日中時間帯は緑に囲まれた自然豊かな車窓風景も見られる区間だが、筆者が寄居駅から高麗川行の普通列車に乗る頃にはすでに日も暮れ、外は真っ暗で、ほぼなにも見えなくなってしまった。キハ110系の走りに注目すると、床下からエンジンの振動が足に伝わり、走行音と相まって電車との違いを体感できた。

途中の停車駅で何度か行き違いを行いつつ、キハ110系の普通列車は高麗川駅に到着。ここで非電化区間は終了となり、川越方面から来た八王子行の普通列車に乗り換える。車両は209系3100番台。元りんかい線の車両だった。列車は西武池袋線と接続する東飯能駅、JR青梅線・五日市線と接続する拝島駅などで行き違いを行いながら、終点の八王子駅に到着した。

続いて横浜線の各駅停車に乗り換え、横浜市内へ。平日の帰宅時間帯に当たったため、やや混雑していたが、それでも車内はある程度スペースに余裕があった。この列車は東神奈川行のため、最後の1駅間だけ京浜東北線に乗り換え、横浜駅に着いた。

■利便性では都心経由、列車の旅を堪能するならJR線経由

横浜~小川町・寄居間を利用した後、それぞれのルートの乗車時間や運賃などを改めて調べた。東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線を乗り継いだ場合、乗車時間は横浜駅から小川町駅まで2時間21分、小川町駅から寄居駅まで15分、合計で2時間36分だった。運賃は横浜~小川町間(和光市駅で東武東上線に乗換え)でIC運賃1,288円・きっぷ1,310円、小川町~寄居間はIC運賃251円・きっぷ260円。合計するとIC運賃1,539円・きっぷ1,560円となった。

一方、JR八高線・横浜線経由で乗り継いだ場合、寄居駅から横浜駅までの乗車時間は2時間49分、運賃はIC運賃・きっぷともに1,980円だった。

今回、東急東横線・東京メトロ副都心線・東武東上線経由のルートは早朝の時間帯に利用したが、日中時間帯に運転される「Fライナー」など速達タイプの列車を利用すれば、乗車時間はさらに短縮できたと思われる。利便性を重視した場合、速達性が高く、列車の本数にも恵まれ、運賃も安い都心経由のルートが明らかに有利だった。

利便性において不利なJR線経由のルートだが、見方を変えると、首都圏では数少ない非電化区間を体験できるなど、小旅行の気分を味わえる区間と言うこともできる。電化区間でも、筆者が乗車した元りんかい線の車両に加え、中央・総武線(各駅停車)で活躍した209系・E231系が単線区間を走る姿は旅情をかき立てられる。

また、小川町は古くから「和紙の町」として知られ、伝統工芸品の和紙、秩父山系の水を生かした地酒をはじめ、さまざまな特産品がある。寄居町では、町の至る所に桜が植えられ、町内の各駅を起点としたハイキングコースも紹介されていた。両町とも都心からあまり離れていないが、それぞれ魅力的な観光要素がある町だった。

今回乗車した寄居~横浜間は、「休日おでかけパス」のフリーエリア内にも入っている。土休日限定ながら、発売額(大人)は2,720円。横浜駅から寄居駅まで往復するだけで元を取れる。休みの日に小川町・寄居方面へ出かけるなら、こうしたお得なきっぷを活用することもひとつの手だろう。