ホンダF1田辺TD予選後会見:ポール獲得の期待が高まるも「PU側で調整できないほど、路面が滑りやすかった」

 ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターが開口一番、「雨に翻弄された1日」と言うほど、大荒れとなった予選だった。初日フリー走行から予選Q2までの全セッションで最速だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、最後にポールポジションを逃した。田辺テクニカルディレクターはドライバーの無念を思いつつ、「重要なのは、あくまでレース結果」と、明日の健闘を誓っていた。

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──大荒れの予選となりました。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。今日は朝から雨で、天気が良くなるかと思ったら予選途中にはかなりのヘビーウェット路面になったりと、雨に翻弄された1日でした。

 FP3もほとんどセッティングの確認ぐらいしかできない状態で、予選に臨みました。路面コンディションが目まぐるしく変わるなか、フェルスタッペンは予選2番手でした。初日からトップタイムを出し続けていただけに、インターミディエイトタイヤが予想以上に機能しなくて2番グリッドというのはちょっと残念だと思っています。

 ただアルボンもセッティングが初日から決まり、予選でもフェルスタッペンに近いタイムを出して4番手。レッドブル2台はレースに向けて、いいポジションを確保できたと思っています。

──アルファタウリの2台は、残念な結果でした。

田辺TD:こちらもいい形でセッティングが進んでいたのですが、(ダニール)クビアトは最悪のタイミングでスピンを喫してQ1敗退。(ピエール)ガスリーもタイヤのグリップが出ずにQ3に進めませんでした。明日も天気が変わりやすいという予報も出てますから、総力戦でいい結果を出したいと思っています。

2020年F1第14戦トルコGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

──フェルスタッペンはポールポジションを獲れなかったことに、非常にショックを受けていました。田辺さんも、同じ気持ちですか。あるいはメインライバルのメルセデスより上にいけたことで良しとしているのでしょうか。

田辺TD:マックスに同感です。

──インターがもう少し機能していれば、ポールポジションを獲れていたと。

田辺TD:そこは車体特性の違いもありますが、レーシングポイントはインターに履き替えてすぐにタイムを出していた。とはいえウエットタイヤでは圧倒的な速さを出し、なおかつメルセデスが上位にいない状況だっただけに、ポールへの期待は非常に大きかったです。

 ただ重要なのは、あくまでレースですから。そんなにガッカリしていてもしょうがない。同時にドライバーは、本当に無念だったと思います。

──メルセデスは6速でもホイールスピンしていると言っていました。ここまでひどい路面コンディションは、初めてでしたか。

田辺TD:そうですね。

2020年F1第14戦トルコGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

■ポルトガルでのPU発火が影響。ガスリーは4基目投入の可能性も?

──ホイールスピンを防ぐために、パワーユニット(PU)側ではあまりできることはなかったのですか?

田辺TD:基本的には、ドライバー自身の制御ですね。トラクションコントロールは、禁じられていますから。

──ドライバビリティの調整も?

田辺TD:たとえばエンジンブレーキは、ドライでもウェットでも同じだけかかるわけです。そうするとウェット路面でグリップがないと、リヤがすぐにロックする。そこもドライバーがコントロールするしかなかったですね。パワーユニット側で調整できるレベルではないほど、路面が滑りやすかったですから。

──今週末のレースを終えれば、今季も残り3戦です。年間3基で走り切る目標達成は、見えてきましたか。

田辺TD:そのつもりで、やりくりしてます。

──ガスリー車がポルトガルで燃えたのは、影響はないのでしょうか?

田辺TD:影響は、ありますねえ。

──ガスリーだけは、4基目を投入するかもしれない?

田辺TD:もしかするとこの決勝日に、お話できるかもしれません。

2020年F1第14戦トルコGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第14戦トルコGP ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)
2020年F1第14戦トルコGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第14戦トルコGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

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