野尻智紀が2018年第3戦以来のポール獲得。ポイントリーダーの平川はまさかのQ1敗退【第4戦オートポリス予選】

 11月15日(日)、2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦予選が行われ、野尻智紀(TEAM MUGEN)がコースレコードを1.5秒以上塗りかえる驚きのタイムでポールポジションを獲得した。2番手、3番手には福住仁嶺、山本尚貴のDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが入り、HONDAエンジンユーザーがトップ3を独占。代役参戦の松下信治(Buzz Racing Team with B-Max)、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)もQ3に進出し、速さを見せた。

■予選Q1 A組:松下がギリギリでQ2へ進出

 第3戦終了時点のランキングで振り分けられるQ1の組み分けは、A組がニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)、サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、福住、中山雄一(carrozzeria Team KCMG)、タチアナ・カルデロン(Threebond Drago CORSE)、野尻、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、松下、牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)というラインアップ。

 前日に続き、雲一つない晴天の下でQ1がスタート。気温21℃、路面温度も25℃と、レコードブレイクには絶好のコンディションだ。A組では、前日のフリー走行で現行コースレコードを1秒以上削った福住、そして2年ぶりの国内トップフォーミュラ参戦となる松下のアタックに注目が集まる。

 ただ、松下はチェックラップに向かう途中でクラッチにアクシデントが生じたか、いったんピットに戻された。その後、確認を終えて無事にエンジンもかかり、コースへ。しかし、残り時間も迫っており、いきなりニュータイヤを装着してアタックに向かうことになった。

 残り時間が3分を切る頃から続々とタイムアタックが始まる。まずは牧野が1分25秒619でトップに立つが、すぐさま福住が1分25秒152で逆転。石浦も1分25秒725と、この時点で3台がコースレコードを更新した。

 さらに他のマシンもコントロールラインに向かっていくが、中山がさよりんブリッジ(アンダーブリッジ)を越えたところでクラッシュしてしまったため、残り14秒のところで赤旗中断。この時点でタイムアタックを終えていたのは福住、牧野、石浦、関口の4台で、残る6台はセッション再開後のわずかなチャンスに懸けることになる。

 残り時間が3分に延長され、10時40分にセッション再開。赤旗提示前にトップタイムをマークしていた福住を除く他のドライバーたちは続々とコースへ入っていく。ニュータイヤに履き替えてアタックしたキャシディは1分24秒907と、福住のタイムを0.2秒以上削りトップで通過。野尻、石浦もコースレコードを更新して5番手、6番手につけた。

 以下、フェネストラズ、松下と続き、ここまでの7台がQ1を突破。松下はユーズドタイヤのままでアタックし、1分25秒908をマーク。7番手に滑り込んでQ2進出を決めた。関口、カルデロン、クラッシュでタイムアタックに入れなかった中山の3台がここで敗退となった。

■予選Q1 B組:ポイントリーダーの平川がまさかのクラッシュで敗退

 予選Q1 B組は、山下健太(KONDO RACING)、山本、大嶋和也(ROOKIE Racing)、笹原右京(TEAM MUGEN)、国本雄資(carrozzeria Team KCMG)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、宮田、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、シャルル・ミレッシ(Buzz Racing Team with B-Max)、大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)という顔ぶれに。そしてB組もセッション終了間際にクラッシュ車両が出てしまい、赤旗中断となってしまった。

 クラッシュしてしまったのは、なんと今シーズン2度、ポールポジションを獲得している平川。A組の中山と同じく、アンダーブリッジを越えた先の左コーナーを曲がり切れずにアウト側のスポンジバリアにヒットしてしまう。赤旗が提示される前にコントロールラインを通過できたのは1分25秒590をマークした山本のみ。

 平川の後ろでアタックしていた大湯はコンマ数秒の差で赤旗提示前に通過できず、セッション再開後のアタックに望みを託すことになる。山本としても、A組のカットラインタイムが1分25秒9だったことを考えると、あまり楽観視はできないところだ。

 こちらも残り3分でセッション再開。山下のみがユーズドタイヤ、他はニュータイヤを装着してコースへ向かう。トップタイムは山本で、赤旗前の自己ベストタイムを約1秒削り、1分24秒693をたたき出した。2番手には大湯、3番手には最後にチェッカーを受けた国本が滑り込んだ。以下、宮田、坪井、笹原、山下までがQ2進出。大嶋、ミレッシ、そしてクラッシュを喫してしまった平川がここで予選を終えることになった。

■予選Q2:宮田、松下らの代役参戦組が躍進

 14台中8台が生き残るQ2は、宮田がトップタイムを奪取。1分24秒544と、Q1での自身のタイムを0.5秒削ってみせた。同タイムをたたき出した山本が2番手で通過。福住、キャシディ、坪井らが続く。松下はQ1同様、最後にアタックに入ったが、1分24秒782と6番手になった野尻と同タイムで7位に入りQ3に進出。

 8番手には大湯が残った。9番手のフェネストラズは、大湯との差がわずか100分の4秒と惜しくもQ2敗退。以下、石浦、国本、牧野、山下、笹原はここで予選敗退となった。

■野尻が新たなレコードホルダーに

 Q3開始とともにまずは野尻がフロントをニュータイヤ、リヤをユーズドタイヤという組み合わせでコースへ。フロントタイヤをスクラブして熱が入りやすくするために1周してピットへ戻ると、リヤを新品のタイヤに変えてアタックへと向かった。

 野尻はウォームアップに入る山本、福住に続いてのアタックで、ちょうど目の前でコースインしたキャシディに引っかかるかと思わるタイミングだったが、うまくかわして1分24秒140の驚速タイムをたたき出す。2番手には100分の15秒差で福住が入り、先週のスーパーGTで歓喜のシーズン初勝利を挙げたふたりがフロントロウに並ぶことに。

 3番手の山本も1分24秒250と僅差だった。松下は1分25秒305で6番手、宮田は1分25秒601で7番手に。キャシディはピットアウトの際に痛恨のエンジンストール。ようやくコースに入ったときには残り時間が1分30秒を指しており、タイム計測ができずにまさかの8位という結果となった。

 41周で争われる第4戦決勝は14時40分にスタートが予定されている。

2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 野尻智紀(TEAM MUGEN)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス まさかの予選Q1でクラッシュを喫した平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス ランキング2位につけているニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)はQ3でアタックが間に合わず。

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