【深掘り】採決ではなく協議で決定した「下地氏の復党認めず」 早期決着も今後の展開は?

 自民党県連は下地幹郎氏の復党を認めないことを決めた。15日の常任総務会に先立ち開いた議員総会では、復党を求める一部経済界の動きを念頭に賛成派や慎重派の県議もいたが、経済界が水面下で進めた説得工作による「分裂」(県連幹部)を警戒した執行部が早期決着を図った。一方、下地氏と同氏を支援してきた経済界有志は引き続き復党を求めていく考えで、自民県連と経済界の駆け引きは今後も続きそうだ。

 今月12日、自民県連に対し下地氏の復党を念頭に置いた「保守合同」を求める署名1万2428筆を提出した国場組の国場幸一会長ら経済界有志は水面下で県議数人と個別に面談し、下地氏の復党に賛成するよう根回しを続けていた。署名提出の際には、経済界と県連執行部との協議の場を開くよう求めた。この動きに呼応するように県連内でも次第に県議を中心に「早急に結論を出す必要はない」「柔軟に検討すべきだ」との意見が出始め、執行部は危機感を強めていた。

 そのため県連の意思決定機関である常任総務会を開くに当たって執行部は県連が割れているとの印象を与えないよう、採決ではなく協議で県連の方針を決めることにした。県連関係者の一人は「決を採れば賛否が明確になる。復党反対派議員の多くはこの方法に反対した」と明かす。ただ、今回の方針決定について下地氏は「これまで県連は復党反対の意見しかないと言ってきたが、賛成する議員がいることが今日の会合で明らかになった。扉は開いている」と述べ、決着していないとの認識だ。

 下地氏が10月30日に県連に復党願を提出した2日後の11月1日、二階俊博幹事長の側近として知られる元沖縄担当相の鶴保庸介参院議員が沖縄入りし、下地氏の復党について経済界や自民県議と意見交換した。鶴保氏と面談した県議は「沖縄の生の声を聞きたいと言っていたが、私からは県議も含めて市町村議員のほとんどが復党に反対していることを伝えた」と明かす。

 一方、党本部と連絡を取り合っている県連関係者によると、党本部は県連の意向次第との姿勢だ。同関係者は「県連が機関決定した以上、本部はその意思を無視できない」と語り、問題は決着したとの見方だ。

 県連が意思を明確にしたことで今後、経済界との関係悪化が懸念される。経済界関係者は「求めていた対話の場もなければ、下地氏からの聞き取りもなかった」と批判を強める。ただ、こうした経済界の批判について「怒っているのは元々、下地氏を応援していた一部の経済人だ」と県連内には楽観論も多い。県連幹部の一人は「下地氏の復党に関係なく、県政奪還の必要性は経済界も承知している。2年後の知事選に向け大同団結できる」と自信をのぞかせた。(吉田健一)

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