ホークスとロッテの差はどこに? 元鷹コーチが指摘した「シーズンと違う野球」

本塁打を放った中村晃を迎えるホークスナイン【写真:荒川祐史】

ソフトバンク川島が見せた横っ飛び好捕「味方打線の反撃、逆転につなげることができた」

■ソフトバンク 6-4 ロッテ(CS・15日・PayPayドーム)

ソフトバンクが15日、本拠地PayPayドームで行われた「パーソル クライマックスシリーズ パ」第2戦でロッテに6-4で逆転勝ちし、4年連続日本シリーズ進出を決めた。レギュラーシーズンでは2位ロッテに14ゲーム差をつけた鷹だが、直接対決では11勝12敗1分と負け越していた。短期決戦で両軍の差が浮き彫りになったシーンとは……。元ヤクルト外野手で、昨年まで5年間ソフトバンクのコーチを務めていた飯田哲也氏が分析した。

ソフトバンクの先発・東浜は立ち上がりの1回に、いきなり2安打3四死球と制球を乱し3失点。2回にも2死二塁のピンチを迎え、フラフラの状態だった。ここでプロ15年目、37歳のベテランがいぶし銀の働きを見せた。

清田が放った打球はセンター前に抜けるかと思われたが、二塁手の川島が横っ飛びで押さえた。内野安打にはなったが、抜けていれば二塁走者の藤原がホームインしていたはずの当たり。東浜は続く安田を空振り三振に仕留め、追加点を許さなかった。

「川島のプレーは非常に大きかった。あの1点が入らなかったお陰で、東浜はなんとか4回まで持ちこたえ、味方打線の反撃、逆転につなげることができた」と飯田氏は指摘する。川島は前日の第1戦は、9回に二塁の守備に就いただけだったが、この日は「2番・二塁」でスタメン出場。劣勢でも、不動のレギュラーではなくても、出場した選手がそつなく自分の役割を果たすところに、ソフトバンクの強さの一端がある。

ロッテ・福田秀平【写真:荒川祐史】

2点を追う5回無死一、二塁で福田秀に送りバントをさせなかったのはなぜか?

一方のロッテには、飯田氏が「シーズン中通りの野球ではなかった」と指摘した場面があった。

3-5で2点を追う5回の攻撃だ。この回から登板した相手の2番手・松本から、先頭の菅野が四球を選び、続く中村奨も中前打。無死一、二塁で、打席には7番・福田秀が立った。飯田氏は「シーズン中であれば、送りバントをさせ、1打同点の場面を作っていたはず」と見たが、強攻させて空振り三振。後続も倒れて1点も取れなかったことは、確かに試合展開の上で痛かった。背景には、相手に王手をかけられて迎えた短期決戦の第2戦で、延長10回引き分けでも敗退という状況があり、2点ではなく3点取らなければならない重圧があった。

「それでも、泥臭く、1点ずつコツコツ取っていくのがロッテの真骨頂。シーズンと違う野球になってしまったことで、選手が勝負勘をつかみ切れなった印象だ。あの場面は打順が8、9番に向かうところではあったが、走者を二、三塁に送り、内野ゴロで1点でも取っていれば、展開は変わっていたかもしれない」と飯田氏。結局ロッテは、9イニング中6度も先頭打者が出塁しながら、得点につながったのは1回と7回だけだった。

もちろん、チーム最多の25本塁打を放っていたマーティンがシーズン終盤の10月22日の西武戦で左足首を痛め、CSに出場できず打線が著しく迫力を欠いたことも、ロッテの敗因の1つ。それでも、普段通りの野球を貫けずに負けたことには、悔いが残るかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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