評価の難しいセミエン 代理人「1億ドル以上の価値がある」

今オフのフリーエージェント市場において最も評価が難しい選手と言われているのがアスレチックスからフリーエージェントとなった遊撃手、マーカス・セミエン(30歳)だ。2019年はアメリカン・リーグのMVP投票で3位に入るほどの大活躍を見せたものの、今季は大幅に成績が悪化。来季以降どれくらいのパフォーマンスを期待できるのか非常に予想が難しい。しかし、代理人のジョエル・ウルフは「マーカスは1億ドル以上の価値がある選手だ」と強気の姿勢を示している。

データサイト「FanGraphs」が算出する総合指標WARを見ると、セミエンが2019年以降に記録した8.8は、ジョージ・スプリンガー(8.4)、DJ・レメイヒュー(7.8)、J・T・リアルミュート(7.4)といった有力フリーエージェント選手を上回っている。しかし、8.8の大部分(7.6)は2019年に記録したものであり、今季の数値(1.2)は遊撃手のなかで17位タイに過ぎなかった。

今季は53試合に出場して打率.223、7本塁打、23打点、OPS.679と打撃不振に苦しんだだけでなく、守備防御点も2018年の+14、2019年の+12から今季は-5へ大幅に悪化。ポストシーズンでは7試合で打率.407、2本塁打、4打点、OPS1.151の活躍を見せたが、守備面では手痛いミスを犯しており、大型契約に値する選手かどうか評価が分かれている。

代理人のウルフは「我々は常にマーカスを1億ドル以上の価値がある選手だと考えている。彼の純粋な価値は1億ドルを超える」と強気の姿勢を示すが、1年後のオフにハビアー・バイエズ(カブス)、カルロス・コレア(アストロズ)、フランシスコ・リンドーア(インディアンス)、コリー・シーガー(ドジャース)、トレバー・ストーリー(ロッキーズ)というスター遊撃手たちが同時にフリーエージェントとなるという事情もある。遊撃手の補強を目指すチームは、1年待てば多くの選択肢のなかからスター遊撃手を選ぶことができるのだ。

よって、今オフのフリーエージェント市場でセミエン、ディディ・グレゴリアス、アンドレルトン・シモンズといった遊撃手に大金が投じられる可能性は低いと見られている。セミエンの今季のパフォーマンスを考えると、ウルフが期待するような総額1億ドル以上の大型契約は実現しないだろう。

© MLB Advanced Media, LP.