アムギス木材の特徴とは?アムギスを使ったリノベーション実例を紹介

アムギス材は聞きなれず、知らないという人も多いかもしれません。リノベーション人気の高まりによって、木材も好みのものを選ぶ人が多くなりました。そんな中でも、アムギスは高級感があるきれいな色合いをしている木材で、硬く頑丈なうえに加工もしやすいため、家具やフローリングなどに適しており好んで使われています。そんなアムギス材の特徴やアムギスの魅力などを、リノベーションの実例とともに紹介します。

アムギスとは

アムギスとは、樹高は25~30mほど、直径は50~70cmほどになる中径木です。とくに太くなったアムギスの木は、直径120cmに達することもあります。根の張りがとても強く、板根が発達しているタイプの樹種です。

板根とは、地表に近い場所にある樹木の側根の上部にあたる場所にあります。その樹木の側根が平たい板のような状態になって、とても肥大していき、大きく肥大している根っこによって樹木を支えたり、通気のための働きをしたりしている根のことを板根と呼ばれているのです。

板根がある木は熱帯雨林にある高い木やマングローブの植物などに多くあり、板根がある少し似たタイプの木の一例は、ホウガンヒルギやサキシマスオウノキ、ラワンなどが挙げられます。

アムギスの分布

分布はフィリピンやインドネシア、マレーシア、カリマンタン、スラウェシ、マルク諸島、ニューギニア、アール諸島などの低い土地に生育している植物です。アムギスはどこの土地でも生育できるわけではありません。

この樹種は通常、森林の端のほうに沿って生育して見られます。幹はとてもまっすぐになっていることが多く、根っこに近い部分と上部の部分で同じくらいの太さになっている円筒状の植物です。アムギスの科目はウルシ科の植物にあたります。

木材としてのアムギスの特徴

木材としてのアムギスは、美しい板目が特徴的な高級感のある木材です。アムギスの木材としての特徴も見ていきましょう。

赤褐色の心材

アムギスの心材は赤褐色でたいへんきれいな色合いをしています。心材とは、木の中心に近い部分のことです。逆に辺材とは、木の外側に近い部分のことをいいます。心材は強度が高くてしっかりとしており、腐りにくいです。そのため、一般的な木材では心材は構造用の部材として使います。

アムギスの心材の部分は赤褐色で、外気にさらされた場合には暗い色へと変わっていくのが特徴的です。木材の表面に現れた木目の様子は波状になっており、いくつかの筋が入り交じったような状態になっています。

辺材は白色~淡いピンク色

辺材とは木の外側に近い部分のこと。一般的に、木材の辺材は見た目がとくに美しいため、仕上げ材として使います。アムギスの辺材は白色~淡いピンク色の美しい色合いをしており、赤褐色の心材とは区別がつきやすいです。

アムギスの辺材は厚さが3~5cmほどあります。木材の辺材部分は、心材に比べると腐りやすいという欠点があるのが一般的です。白アリが木を食べてしまう、アリによる被害も心材と比べると受けやすく、耐久性も比較的低くなります。そのため、構造用部材ではない場所で、木目の美しさをいかせる部分に使われることが多いです。

十分な硬度を持ち加工にも適している

アムギスの木材は、ほかの木材と比較すると重くて硬いタイプの木材です。十分な硬度を持っていますが、その割には加工しやすく、硬度があるのに普通の道具を使って十分に加工ができます。釘を打つときにもとてもスムーズにおこなえるのもアムギスの木材を使う大きなメリットです。

硬度が高いことで壊れにくくもあり、加工が簡単なので仕上がりも美しくできます。気を付けるポイントは、乾燥の過程です。加工しやすく使いやすいアムギスの木材ですが、乾燥の際には割れや狂いが生じやすいため、注意が必要になります。

肌目は細かく光沢がある

アムギスの木材表面の肌理は細かく、光沢があるので高級感を感じる木材です。たいへん美しい木材で、落ち着いた風合いを楽しめます。アムギスの木材は加工性能も高いため、加工したものの仕上がりがより美しくなります。香りはあまり強くはありません。

住宅にアムギスを使うメリット・デメリット

リノベーションなどに使う木材を選択するときに、アムギスの木材を選ぶメリットとデメリットを確認しましょう。

メリット:十分な硬度と加工性を持つため、フローリングに適している

アムギスの木材は十分な硬度があるため、強度が高く壊れにくいのがメリットです。先述したとおり、釘で打つのもスムーズであるなど非常に加工しやすく、家具やフローリングなどのさまざまなものに利用されています。

アムギスの木材は硬度がある分針葉樹の木材などよりもぎっしりとつまった状態であり、重量もあります。つまっている分傷がつきにくくなるため、フローリングに適した木材であるといえます。仕上がりは非常に上等なものができあがります。内部用の木材として使うのであれば、アムギスの木材は非常に耐久性が高いため、長持ちさせられます。

デメリット:屋外には不向き

硬度があり加工もしやすいという、利用しやすいアムギスの木材。しかし、この木材を屋外に使用するのは不向きです。さらに地面に接するように利用をするのもよくありません。屋外に使う場合や地面に接する部分の木材には、アムギスの木材を使わないように気を付けましょう。

アムギスを使用した、おしゃれなリノベーション実例

アムギスの木材は細かな木肌が美しく、フローリングや家具などの利用にも適している、硬度のある木材です。 建具ともとてもよく調和がとれている、まとまりのある落ち着く住まいにできます。

赤褐色の心材はフローリングに使われることが多く、美しく上質なイメージのリビングダイニングの実現が可能です。赤みがかった木材の中でも高級感のあるできに仕上がります。赤みがある無垢の木材が好みの人や、温かみのある雰囲気の上質なリビングダイニングにしたい人などは、アムギスの木材を検討してみては。

赤褐色が温かみのあるリビングを演出

こちらはアムギスの木材をリビングダイニングのフローリング材として全面に使ってある例です。キッチンの側面の部分や天井など、ところどころに木材が使われているため、一体感が出ていておしゃれな雰囲気になっています。

アムギスの木材は香りの強い木材ではありません。それでもこちらの実例のように、リビングダイニングや廊下などの床板一面にアムギスの木材をフローリング材として使うと、無垢材ならではの木材のいい香りを感じてリラックスができます。

ドアや収納の扉と調和のとれたアムギスの廊下

床、天井、扉などに無垢材をふんだんに使った廊下

こちらは廊下のフローリング材としてアムギスの木材を使っている実例です。アムギスの木材を使っているフローリング以外にも、ドアの扉や収納の扉も木材が使われているためとても調和がとれており、おしゃれで上品なたたずまいの住まいになっています。

この住宅の廊下の特徴は、さらに天井まで木材が使われていること。床の部分と天井部分を木材に合わせてあることで、周りの白い壁との対比もあり奥行きが広く長く感じられます。全体に木材が使われているため、ログハウスのような雰囲気も感じられ、落ち着けるデザインです。

WICの床にもアムギスを使って一面アムギスフローリングに

ウォークインクローゼット内の床までアムギスで統一

こちらはウォークインクローゼットの実例になります。アムギスの木材などの無垢材を、フローリング材として使った場合、とても高級感のある上質で洗練された空間が実現可能です。ただし無垢材は材料の費用が高くなるため、リビングダイニングなどのゲストが入りやすい場所に使われることが多いもの。

この住宅では、あまり人目につかないウォークインクローゼットにまでアムギスの木材を使っています。このリノベーションの依頼主のこだわりが伝わってきます。ウォークインクローゼットや普通の洋室の部分にまでアムギスの木材を使うことで、一面じゅうアムギスのフローリングになりました。その結果、家全体の一体感が増して、おしゃれさや上質感が高まっています。

美しく上質なアムギスの木材を活用しよう

アムギスはフローリング材として適しており、その独特の温かみを感じる赤褐色の色味のおかげで、落ち着ける雰囲気の住まいにリノベーションが可能です。赤みがかった木材の中でも高級感のある出来に仕上がるため、赤みがある木材が使いたいという人や、温かみを感じられるような上質なリビングダイニングにしたい人は、アムギスの木材を検討してみるといいでしょう。

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