トランプ大統領「ニューヨーク州へのワクチン配布は遅れる」 対立し続けるクオモ知事に「嫌がらせ」か

 大統領選で敗色濃厚となっているトランプ米大統領が、大勢判明後初めて開いた13日の会見でまたしても問題発言を行い波紋が広がっている。この会見では自身の敗北について言及しなかったが、相次いで発表された新型コロナワクチンの良好な臨床試験成績に関して「ニューヨーク州への配布は遅れる」と突然発言し、同州のクオモ知事が激しく非難する事態になっている。

突然「ニューヨーク州だけ遅れる」と発言

 13日の会見でトランプ大統領は大統領選の話題は避け、自身が選挙活動で再三アピールしてきたワクチンの開発状況について発言。「4月になれば皆がワクチンを手に入れられるが、ニューヨーク州は別だ」と突然名指しして釘を刺した。これは同州のクオモ知事が、以前から「製薬会社や規制当局は信じるが、性急に承認を推し進めようとする政権は信用しない」として州独自のプロセスで安全性を確認すると述べていることに対し、国の承認プロセスを信用しないのなら配布が遅れるのは当然との見方を示したもの。しかし米国内では、以前から対立を続けている両氏の子供染みた喧嘩の一例で、トランプ大統領が意趣返しを試みているだけだとの見方も根強い。

 この発言を受け、16日に会見したクオモ州知事は怒り心頭といった様子。「平等に全てのワクチンを用意するため、州兵を動員することも辞さない」と激しい口調でトランプ大統領を非難した。同氏は13日にも米マスコミへのインタビューで「トランプ氏は政府機関を報復の道具としか思っていない。人をいじめたいだけだ」と厳しく指弾している。

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