ゴールドグラブ賞11度の名遊撃手・ビスケル 殿堂入りなるか

2021年のアメリカ野球殿堂入り投票で最も殿堂入りの可能性が高いと言われているのは、昨年の得票率が70.0%のカート・シリングだ(殿堂入りラインは75%)。昨年の得票率でシリングに次ぐのはロジャー・クレメンスとバリー・ボンズだが、この2人はこの4年間で得票率があまり伸びておらず、支持者からの票を集め切った感がある。そこでシリングに次ぐ2番手に浮上するのがオマー・ビスケルだ。ゴールドグラブ賞11度の名遊撃手は昨年、得票率52.6%を記録。有力な新規候補が不在の今回は一気に得票率を伸ばすかもしれない。

ビスケルは今回が4度目のチャレンジ。初年度の2018年は得票率37.0%からスタートし、翌2019年は42.8%と「微増」にとどまったが、昨年は一気に50%の壁を突破した。今回はまず、得票率を60%台に乗せることが目標となるが、前々回のマリアーノ・リベラや前回のデレク・ジーターのように強力な新規候補が不在であることを考えると、一気に得票率を伸ばしても決して不思議ではない。

ビスケルの最大の強みは、何と言っても守備面での圧倒的な実績だ。1993年から9年連続でゴールドグラブ賞を受賞し、ジャイアンツ時代の2005年と2006年にも受賞(38歳と39歳のシーズン)。遊撃手として通算11度の受賞はオジー・スミス(13度)に次ぐ歴代2位である。また、遊撃での通算守備率.985は歴代1位。遊撃での併殺完成数1734はスミスの1590に大差をつけてダントツの数字となっている。

一方、打撃面では24年のキャリアで通算2968試合に出場して2877安打、404盗塁を記録。オールスター・ゲームにも3度選ばれた経験がある。スミスはオールスター・ゲームに15度も選出されているが、スミスの通算2460安打、580盗塁という数字と比較してもビスケルの通算成績は決して見劣りせず、スミスが初年度の2002年に得票率91.7%で殿堂入りしていることを考えると、ビスケルの得票率は低すぎると言えるかもしれない。

最初の3年間での得票率の推移を見る限り、ビスケルは投票対象となる10年間のうちに必ず殿堂入りを果たすだろう。シリング以外にビスケルを上回るような有力候補が見当たらない今回は、一気に得票率を伸ばす大きなチャンスとなる。シリング以外にもう1人、殿堂入り選手が誕生するとすれば、それはビスケルかもしれない。

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