希望は専業主婦、高年収相手を求める婚活女性の“非現実度”

結婚を希望する男女のマッチング現場において、男性がぶつかる大きな壁が「女性の年齢」、つまり、イメージしているほど若い女性との結婚の実現は甘くない、という壁です。一方、女性がぶつかる壁は「年収」というのを、たまに耳にします。


子どもを盾に過大な要求の押し付け合い?

最近は、データマッチングシステムを使用した相手探しが、結婚相談所でも、地域支援センターでも、アプリでも主流となってきています。ですので、以前よりは沢山のお相手から探すことができるようになったはずなのですが、逆に、あまりに人数が多すぎて、かえって見つけにくくなっている、ともいえます。

そのような状況で、男女とも利用するのが条件検索です。

男性の例でいえば、相手の女性の年齢を「20歳から29歳」などと制限して検索するわけです。では女性側はというと、男性と同じく年齢でも制限はかけます。しかし、厳しい年齢の条件を入力する女性はそれほど多くはありません。

しかしそれだけだとまだ絞り込みにくいということがあり、さらに年収でも絞る女性が出てきます(とはいえ、そこまで高い年収で絞り込まない女性も多いのですが)。

この年収制限に関して、非現実的な希望を掲げる女性が一部に見受けられる、という報告を耳にします。

「子どもを持ったら働かずに育児に専念したいから、(私は稼いでいなくても)高収入の方を」といった理由が多いようです。これに関しては、男性側も「子どもが欲しいから(自分の年齢棚上げで)若い女性を」との主張が少なからず……といった状況ですので、希望の非現実度合いはどっちもどっち、な感じはします。お互いに、条件としては全否定しにくい子どもを盾に自分の希望を押し付けあっているかのような少々残念な状況、ともみえなくもありません。

いずれにしても、自分の年収よりかなり高い年収の男性がいい、という女性の考えの背景には「働かずに家事や育児をする」、つまり専業主婦になる、という前提があるようです。

では、専業主婦の女性はリアルデータでみるとどの程度、存在するのでしょうか。

非農林業における専業主婦率は32%

今回使用するデータは、国立労働政策研究・研修機構の最新の公表データです。1980年から2019年までの、非農林業における(いわゆる会社員などの世帯)専業主婦世帯と共働き世帯の世帯数の推移が示されています。
下のグラフをご覧ください。

周囲が大企業転勤族の家庭ばかり、といった環境にいる方以外で、特に若い世代の男女にとっては、納得感があるかもしれないデータですが、2019年における専業主婦世帯比率32%、共働き世帯比率68%となっています。

つまり、専業主婦は今や3組に1組未満というマイノリティ的存在なのです。男性の経済力だけで食べていく、子育てする、という環境は、女性にとってもはや「普通・当たり前」などとは到底言えない状況です。

どうして専業主婦になるのは難しいと想像できないのか?

この専業主婦希望ですが、婚活において年齢の高い女性ほど、実現可能だろうと思い込んでいる、もしくは目指している傾向が見られます。「そんなに非現実的なはずがないでしょ?」という思い込みが強い傾向があります。
それは一体、なぜでしょうか。

もう一度、先ほどのグラフを見てください。

非農林業において、専業主婦世帯と共働き世帯が半々となったのは1995年前後です。つまり、そのあたりで生まれた子どもは、現在まだ25歳なのです。もっというと25歳以上の男女の両親は、非農林業であれば、専業主婦世帯の方が多かったのです。

1985年あたりをみると、専業主婦世帯の方が1.3倍程度、1980年ともなると専業主婦世帯の方が共働き世帯より2倍弱も多く、令和時代の今とは状況が完全に逆転している様子がわかります。

1985年に生まれた男女は現在35歳、1980年に生まれた男女は40歳です。つまり、年齢が高い女性ほど、母親が専業主婦である割合がどんどん高くなり、「私のお母さんだって専業主婦なのだから」という親ロールモデルの呪縛に縛られやすいのです。逆に、男性も同じことが言えます。年齢の高い婚活男性ほど、女性側の選択基準は所詮年収なのだ、という発想に縛られがちです。

時代変化を受け入れられる柔軟さが必要

婚活中の女性が婚活疲れしないために、親ロールモデルに縛られない、ということは非常に大切です。
結婚相手はあなたのお父さんではありません。また、あなた自身はお母さんとは別の人格であって、お母さんではありません。

これまでお母さんと同じ時間を過ごしてきたとはいえ、年齢軸でみれば「同じ年齢で別の時間を生きている」のです。このことにしっかり目を向けた上で、何を捨てた上で(ここが大事です)、何を得たいのか、よく考えてほしいと思います。

「今に目を背けずに生きる」ことで得る結果こそが、あなたを借り物ではない、本当の幸せに導いてくれると思います。

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