M1搭載MacBook Airを試す ワークスタイルを変える驚きの静音性能とバッテリー

©株式会社マイナビ

アップルから、薄型軽量のノートブック「MacBook Air」の新製品が発売されます。新たに、自社で設計・開発したMac専用のSoC「Apple M1」を搭載する初めてのMacBook Airのファーストインプレッションを報告したいと思います。

M1搭載MacBook Airは何が変わったのか

M1チップを搭載するMacBook Airも、ウェッジシェイプ(くさび形)のデザインと優美なアルミニウム筐体を受け継いでいます。13.3インチのRetinaディスプレイ、シザー方式のMagic Keyboardは、2020年3月に登場したIntel Core iシリーズのCPUを搭載するMacBook Airと同じ。カラーバリエーションはシルバー/スペースグレイ/ゴールドの3色があります。

CPUは最大3.5倍、GPUは最大5倍、そしてNeural Engineによる機械学習は最大9倍も高速化しています。MacBook Air史上最も長いという最大18時間のバッテリー駆動時間も達成しました。ひとつ前の世代のモデルよりも数多くのパワーアップを果たしながら、104,800円(税別)から購入できる販売価格は据え置いています。

M1チップ搭載のMacBook Airは、GPUコアの数が異なる2種類の製品が発売されます。現行機種はすべてM1チップ搭載機になりました。カスタムオーダーの場合は、メモリが8GB/16GBから選べるほか、ストレージは標準の256GBから最大2TBまで追加できます。

ハードウェアの面でひとつ前の世代のモデルから進化した点をおさらいしてみます。Retinaディスプレイの液晶パネルはP3の広色域対応になり、前面に搭載するFaceTime HDカメラは最大解像度は720pのままですが、M1チップに統合されているApple最新の画像信号プロセッサ(ISP)と連携してノイズ低減、ホワイトバランスなどの自動高画質化処理を行うことから、より高精細なビデオ画質を実現しています。

左側面にはThunderbolt/USB 4ポートを2基搭載。無線LANはWi-Fi 6対応になりました。

指紋認証Touch IDを含むMagic Keyboardを引き続き搭載していますが、ファンクションキーの仕様が少し変わっています。F4にはSpotlight検索、F5はSiriの起動、F6はおやすみモードの切り替え操作が割り当てられました。また、ファンクションキーとひとつになった「地球儀キー」を押すと、キーボードの入力ソースを切り換えたり絵文字と記号の表示などができます。システム環境設定の「キーボード」設定から各キーアサインが決められます。

macOS Big Surから、電源を投入した時に鳴る“ジャーン”という起動音が復活しました。筆者のようにMacユーザー歴の長い人は懐かしく感じると思います。外出先でその日初めて電源を入れた時に、音が鳴って周囲を驚かせてしまいたくない場合は「システム環境設定」→「サウンド」→「サウンドエフェクト」のタブから「起動時にサウンドを再生」のチェックを外しておきましょう。

驚きの静かさとバッテリーのパフォーマンス

新しいMacBook Airは、M1チップの高い電力効率を活かし、ファンなしで内部の熱を逃がす設計としています。今回MacBook Airを試して最初に、そして最もこのファンレス設計による「静かさ」に筆者は驚きました。本当に動作しているのか心配になるほどに静かで快適。まるで、足回りの良い高級車でドライブを楽しんでいるような感覚で、不思議と作業がはかどります。

内蔵バッテリーのスタミナは充実。さらに、負荷の掛かりそうなタスクも本体が過度に熱を持つことなく涼しげな顔でこなします。

YouTubeで宇宙船「クールドラゴン」の打ち上げ映像配信を視聴しながらApple Musicで音楽を再生、Adobe LightroomでRAW画像データの編集作業を同時に1時間ほど続けてみましたが、本体の底部はほんのりと温かくなるぐらいです。マルチタスク処理も終始もたつくことがありません。

そのままYouTubeでビデオを見たり、ハイレゾ音源を再生しながら半日以上使い倒して、さらに電源を落とさずに翌朝を迎えてみたところ、満充電の状態からスタートして約22時間が経っても20%を超える残量がありました。これならば、電源アダプターを持たずに1日MacBook Airを持って外に出ても安心です。

サードパーティのソフト、iPhone/iPadアプリとの互換性は?

M1搭載のMacBook Airでは、既存のインテル製チップを搭載するMacで動くアプリケーションも、バイナリ変換ツールの「Rosetta 2」を走らせることによってシームレスな動作を確保しています。M1システムでネイティブに動かせないサードパーティ製のアプリケーションを起動すると、Rosettaをインストールするようアラートが表示されるので、ガイドに従ってインストールを済ませるとAdobe PhotoshopやChromeブラウザ、Microsoft Office、SpotifyやGoodNote 5などのアプリケーションがスムーズに動きました。IntelベースのMacBook Airとアプリケーションの動作を体感で比べても大きな差が感じられないどころか、M1搭載MacBookの方がアプリケーションの起動からファイルの展開までの動作が明らかに高速化しています。

M1搭載Macから、iPhone/iPadアプリが初めてmacOS Big Surの上で走るようになります。App Storeを立ち上げてから検索条件にiPhone app/iPad appのワードを入れて探せば、いくつかヒットします。ユーザーのiCloudアカウントでログインしている状態で、左下隅に表示されるユーザーのアイコンを選択すると、無料のものも含めてこれまでに購入したアプリが並んでいます。「iPhone およびiPad App」を選択すると、iPhone/iPadで購入済みのアプリの中で、macOS上で使えるものがリストになって表示されます。

iOS/iPadOSのアプリをダウンロードすると、「アプリケーション」フォルダの中にMacのアプリケーションと一緒に並ぶ形で追加されます。例えば「GoodReader」や「Sky Guide」「Kitchen Stories」のようなアプリのいくつかはmacOSで問題なく動作しているようです。筆者がよくiPhoneで使うハイレゾプレーヤーの定番アプリ「HF Player」もダウンロードできましたが、こちらはまだ画面サイズや動作がmacOSに対応していないようです。今後、各デベロッパにより動作の改善とmacOSへの最適化が進められるものと思います。

外部オーディオ機器も動作。FaceTime HDカメラの画質も良好

筆者は、よくMacBookにUSB接続のヘッドホンアンプをつないで仕事中に音楽を聴いています。M1搭載のMacBook Airも2基のThunderbolt/USB 4ポートを持っているので、こちらにUSB接続のアンプをつないでみました。結果は、MAKTAR「SPECTRA X」のようにMacに直結できるタイプの機器、および間にUSB OTGケーブルを挟むタイプの機器のどちらも、筆者の手元にあるいくつかの製品で試したところ動作しました。設定は従来通りシステム環境設定の「サウンド」デバイスとユーティリティの中にある「Audio MIDI設定」の出力先として接続したヘッドホンアンプを選択します。

内蔵FaceTime HDカメラによるビデオ通話の画質を、筆者のメインマシンである2019年モデルのMacBook Airと比べてみたところ、画質の違いは歴然としていました。動画が明るく色鮮やかになり、ビデオ通話の相手の表情がより活き活きとして見えます。解像度は同じ720pのまま変わっていないのに、映像のディティールがつぶれることなく鮮明に確認できます。在宅ワーク時のビデオカンファレンスやリモート帰省などの用途に、新しいMacBook Airが大活躍してくれるでしょう。スタジオグレードの高音質ステレオマイクを内蔵する上位のMacBook Proの通話音質も、機会があればぜひ試してみたいと思いました。

軽量・薄型なMacBookシリーズは、ビジネスパーソンの活躍を支えるハイクオリティなノートブックです。2020年にはMagic Keyboardが搭載され、テキストタイピングの快適さが飛躍的にアップしました。そして今回、新しいApple M1チップによってパワフルなバッテリーと静音性能、内蔵カメラによるビデオ通話の画質向上が実現します。これから互換性を持つiPhone/iPadアプリ、ゲームが増えてくれば、エンターテインメントやユーティリティの領域にもMacで楽しめる体験の幅が豊かに広がります。今回試してみたM1搭載の新しいMacBook Airは、これから既存のMacBookとは“別モノ”の新しいデバイスとして進化を遂げそうな、楽しみな手応えを感じています。

著者 : 山本敦

やまもとあつし