妹にしたいアイドル No.1 渡辺満里奈のデビュー曲「深呼吸して」 1986年 10月8日 渡辺満里奈のデビューシングル「深呼吸して」がリリースされた日

おニャン子クラブ会員番号36番、渡辺満里奈

久しぶりに天使が舞い降りた。

天使の名前は渡辺満里奈、会員番号36番。

名前の由来はマリーナから。ヨット好きの父が命名したとのこと。弟の名前は大吉。これを聞いた時、「あぁ、この親父さんはセンスあるな」って、思ったなぁ。

満里奈本人も可愛いだけでなく、誰からも愛されるというセンスが抜群だった。そうでなければ芸能界は生き残れない。そう、彼女は、解散後も芸能界で生き残っている数少ないおニャン子クラブのメンバーの一人だ。

120点で合格!夕ニャンの新人発掘コーナー「アイドルを探せ」

1986年3月、渡辺満里奈は夕やけニャンニャンの「ザ・スカウト アイドルを探せ!」に登場。夕ニャンのファンの方なら当然覚えていると思うけど、このコーナーは月曜から金曜まで1週間出演し、金曜日の審査で “100点” 以上になるとおニャン子になれるというオーディションだ。

初回の合格者は、我が一生の片思い、会員番号12番・河合その子。それ以後、合格者で目立つところは、あくまで個人的な見解として、会員番号16番・高井麻巳子、会員番号18番・永田ルリ子、会員番号19番・岩井由紀子、会員番号29番・渡辺美奈代くらいで、番組も少々中だるみ感があったところに登場したのが渡辺満里奈だった。

一筋の光というか後光が差していた。あまりの可愛さにちょっと周りが引いたほどだ。

コーナーMCのとんねるずは満里奈を見た瞬間に「自分の事務所に入れ」、合格発表時には「おニャン子はお前のものだ!」と言うわ、審査員席の秋元康は「これでまた儲けられる」的な発言をするわで、この週は久々に、そして非常に盛り上がった。

点数はなんと120点、もちろん文句なしの合格だ。

この時、ちょうど河合その子が卒業することが決まっていて、僕は “おニャン子番長” を返上しようかと真剣に悩んでいたのだけど、満里奈の登場で、周りの友人から頂戴していた名誉職をもうしばらく継続することにした。

デビュー曲は当然1位、山口百恵、渡辺満里奈、後藤真希の共通点は?

河合その子のいないおニャン子クラブを最後まで見届けることになったのは、満里奈の存在があったからこそだ。もちろん満里奈の人気はすぐに沸騰し、当然の如くソロデビュー要員となる。

1986年10月8日、記念すべきデビュー曲は「深呼吸して」。作曲は、LOOKのキーボード担当として「シャイニン・オン 君が哀しい」でデビューしていた山本はるきち。作詞はもちろん秋元康。

「深呼吸して」は、当然のようにオリコンシングルチャート1位を獲得する。ちなみに、この時満里奈は15歳11ヶ月。山口百恵が「冬の色」で持っていたオリコンシングルチャート女性ソロ最年少記録を11年9か月ぶりに更新し、後に、後藤真希が「愛のバカやろう」で1位を獲得するまで14年5か月の間、女性ソロ最年少記録を保持している。

だが、クレジット上は「渡辺満里奈withおニャン子クラブ」となるので、正確にはソロとは言えないかもしれない。ユニットだったと考えたほうがいいのか、当時も今もはっきりしない。何故 “withおニャン子クラブ” なのかというと、バックにちょっと後輩である会員番号38番・工藤静香と会員番号40番・生稲晃子を従えて歌ったから。

曲調は、これぞアイドルって感じで、観ていてちょっと恥ずかしかったかな。観ているこっちが照れてしまう感じで、「他のアイドルの皆さん、また1位獲っちゃってすみません。満里奈をよろしくお願いしま~す」とおニャン子番長として思ったもんです。

1986年は “おニャン子旋風” 真っ只中! 年間52週中36週の1位が…

なんせ、1986年のオリコンチャートは、シングル1位獲得46曲中、おニャン子クラブ関連が30曲、52週中の36週でそれを記録するなどしていて、まさに “おニャン子旋風” が吹き荒れていた時のこと―― 僕は他のアイドルやミュージシャン達に申し訳ないと思ったりして、「満里奈なんで、特別な娘なんで、すみません。今回も大目に見てください」と、プロデューサー目線で勝手に音楽市場を心配していた。

おニャン子解散までにリリースしたシングルは「深呼吸をして」を含めて4枚。渡辺満里奈の快進撃はまだまだ続くことになります。

とにかく満里奈は共演者や制作サイドから可愛がられた。生まれ持った “感の良さ” と、中間子(姉と弟の三兄弟)であるがゆえの “相手に合わせるバランスの良さ” がその理由だと思う。

アイドルに求める要素は、人それぞれ違うだろう。でも、アイドル時代の渡辺満里奈を嫌いと言う人は少ないのではないか。おニャン子解散後、満里奈がアシスタントを務めた番組は常に高視聴率を収めた。その事実が彼女の “誰からも愛される” という才能を証明している。

こんな事を、この歳になって書くのはこっぱずかしいのだけど、僕にとって、こんな妹がいたらいいなー、と思わせるアイドルNo.1が渡辺満里奈だった。

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※2018年2月17日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: 藤澤一雅

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