中日残留決断した大野雄の年俸3億円は安い? 球団過去10年で“大台突破”は3人

中日・大野雄大【写真:荒川祐史】

国内FA権取得の今季10完投&2冠…沢村賞の有力候補に

今オフの去就に注目が集まっていた中日・大野雄大投手が、国内FA権を行使せず早々と残留を宣言した。関係者によると、推定で年俸3億円ほどの複数年契約に。チームを8年ぶりのAクラスに押し上げた立役者の引き止めに成功した形だが、沢村賞の有力候補にも上がる左腕への評価は妥当なのか――。球団での過去の契約と比較してみる。

プロ10年目を迎えた大野雄は開幕直後こそ白星に恵まれなかったものの、7月下旬から2完封を含む怒涛の5試合連続完投勝利を挙げた。終わってみれば、20試合登板で6完封を含む10完投で11勝6敗。防御率1.82で2年連続の最優秀防御率のタイトルを確定させ、最多奪三振との2冠を手に入れる。

圧倒的な成績で、先発投手にとって最高の栄誉である沢村賞の有力候補に。プロ野球記録を塗り替える開幕13連勝を記録し、14勝2敗でリーグ連覇に貢献した巨人の菅野智之と一騎討ちとの声もある一方、完投数などを重視する傾向のある同賞では大野雄が有利との見方もある。

そんな球界屈指の左腕に対して球団が最大限の評価はするのは当然。現状では、チームの日本人最高額となりそうだ。ただ、他球団に目をやると、今年時点で4億円を超える日本人選手は9人いる。球団ごとの事情に大きく左右されるため単純比較はできないが、では中日の過去のケースはどうだったのか。

過去10年で球団の最高年俸は岩瀬仁紀の4億5000万円

過去10年でみると、2012年の岩瀬仁紀が4億5000万円でトップで、球団史上最高年俸でもある。2011年まで7年連続で35セーブ以上を挙げ、うち4年で最多セーブを獲得。落合博満監督時代の黄金期を支えた絶対守護神の全盛期でもあった。さらに2011年には和田一浩が4億円。前年の2010年は2年連続で全試合出場を果たし自己最多の171安打、37本塁打をマークしていた。そのほか、井端弘和が2010年に3億円を突破した。

一方で、今季限りで引退を表明した吉見一起は2013年の2億9000万円が最高で、岩瀬につなぐセットアッパーを担った浅尾拓也も2012年の2億7500万円がピークだった。ただ、ともに故障などで不本意に終わったシーズンもあり、右肩上がりで続けられなかった面も。元監督の谷繁元信も最高で2億5000万円だった。

名だたる選手たちと比べても、大野雄への評価が特出しているのがわかる。裏を返せば、8年ぶりのAクラスで低迷期脱出の兆しが見えてきた矢先に、エースの離脱は避けたかった球団の危機感もにじむ。国内FAを取得する今季、大野雄が複数年契約を結ばずに敢えて単年契約の1億3000万円で勝負したことも功を奏した。

この金額が高いのか、安いのか、それとも妥当なのか――。その結論は、大野雄自身が左腕で下していくことになる。(金額はいずれも推定)(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2