【動画】雲仙・普賢岳 噴火30年 防災視察登山ルポ 溶岩ドームの不安定さ実感

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所々に噴気が上がる溶岩ドーム山頂部には切り立った多くの岩塊がある。右奥には眉山があり、島原市の街並みが見える

 荒々しい姿で目前に迫る雲仙・普賢岳の溶岩ドーム「平成新山」(1483メートル)。長崎県内最高峰の山頂付近は、こぶし大から直径数メートルはあろうかというものまで、大小さまざまな岩石で埋め尽くされ、白い噴気のそばで巨大な岩塊が折り重なる。風化によるひび割れのほか、落石や崩落の跡も随所に見られ、島原市街地の直上に不安定な状態で存在し続ける実態を身をもって知ることができた。
 198年ぶりの普賢岳噴火から30年を迎えた17日に実施された防災視察登山に同行。仁田峠展望所を午前9時ごろ出発、落葉し始めた木々を横目に登山道を歩く。1時間半程度で溶岩ドームの入り口に到着。立ち入り禁止区域に入ると、風景が一変。岩だらけの世界に様変わりした。
 恐る恐る手足を岩に掛け急傾斜の斜面を登る。まるでロッククライミングのようだ。ぐらつく岩も多く危険を感じる。はい上がるように200メートルほど登り、溶岩ドームの上に立った。
 山頂部には噴火活動の最後に押し出された岩尖(がんせん)(高さ約30メートル)がそびえ、噴気が白い湯気となってもうもうと立ち上っている。噴き出し口の温度は94度。九州大地震火山観測研究センターの清水洋センター長(64)は「噴火活動中は約900度あったが、ここ10年は80度台後半から90度程度。横ばいで推移していて、地下深部からのマグマ供給の兆候はみられない」と話した。
 国土交通省雲仙復興事務所などによると、溶岩ドームの規模は約1億立方メートル。ペイペイドーム(福岡市)の53杯分に当たる。普賢岳の地山部分との間に火山灰などの噴火堆積物があるため不安定で、1997年の観測開始から23年間で年平均約6センチ東南東(島原市側)へ沈降している。
 溶岩ドームから同市方面を見下ろすと、崩壊や土石流へのハード対策として同事務所が整備した水無川の大規模砂防ダムなどと、島原の街並みが広がる。「ドームは不安定。大地震の発生で崩落する恐れがある」。溶岩ドームの上に実際に立ち、清水センター長の言葉の重みをかみしめた。

噴火活動の最後に押し出された高さ約30メートルの岩尖がそびえ立つ
立ち入り制限がされている警戒区域。不規則な大きさの岩で足場が悪い中、山頂部を目指す
火山活動を監視する地震計などが設置されている「西の風穴」。噴火当時は避難所になっていた。また、内部は夏でも4度に保たれていたため、かつてはカイコの保存や氷作りに利用されていた