ペルム紀末の生物大量絶滅の原因は大規模火山噴火、東北大学が特定

地球史上最大の絶滅事象とされるペルム紀末の大量絶滅の原因は未確定だったが、東北大学大学院理学研究科地学専攻の海保邦夫教授(現:東北大学名誉教授)らの研究グループは、同大量絶滅とその前に起きた陸上生態系崩壊の原因は大規模火山噴火であると、新指標により特定した。

約2億5000万年前のペルム紀末、90%以上の真核生物の種が絶滅し、地球環境は一変した。その環境激変と絶滅の原因は、シベリア東部のバイカル湖の北に広がる直径約2000kmの火山岩地域での火山活動が有力な原因とされる。火山噴火で生じる水銀の濃集が証拠とされていたが、水銀は生態系崩壊でも供給されるため、不完全な証拠とされる。

海保名誉教授らは、中国とイタリアのペルム紀末の地層を化学分析し、通常の森林火災より高温の火山活動等で生成される燃焼有機分子コロネン(6環の芳香族炭化水素)の濃集と、水銀濃集と、絶滅が同時に起きたことを世界で初めて発見。ペルム紀末の大量絶滅の原因は大規模火山噴火と結論した。地下の堆積岩中の炭化水素がマグマの熱で燃焼し、CO2などの温室効果ガスの発生による圧力で噴火が発生。大気中の温室効果ガス濃度が上昇して地球温暖化が進行し、大量絶滅したことを証拠立てた。また、陸の生態系の方が海の生態系よりも小さな地球環境変化で崩壊することも示した。

コロネンと水銀の指標の同調性は大規模火山噴火燃焼事件を示すため、他の時代の大量絶滅の原因も解明できる。コロネン指標は、世界で初めての有機分子の火山噴火指標で、遠く離れた場所で過去の大規模火山噴火の証拠を捉えるために有用と評価され、米国地質学会発行の「Geology」誌(電子版)に掲載された。

論文情報:

【Geology】Pulsed volcanic combustion events coincident with the end-Permianterrestrial disturbance and the following global crisis

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