「夏、至るころ」池田エライザ監督の演出写真公開 上白石萌音、夏木マリ、山田裕貴からのコメントも

池田エライザさんが初監督し、原案も務めている映画「夏、至るころ」から、池田監督が演出する様子を切り取った写真が公開された。また、上白石萌音さん、夏木マリさん、山田裕貴さんら、著名人や映画評論家からの、作品へのコメントも公開された。

寄せられたコメントでは、「初指揮にして 幸せをテーマに抱えるとは何という手腕!」(夏木マリさん)、「汗ばんでしまいそうになるほど 静かで熱い夏が詰まっていました」(上白石萌音さん)、「多方面で多彩なエラさん(池田エライザ)の頭の中を垣間見れた気もして俳優仲間として、友人としても、嬉しくなれました」(山田裕貴さん)といった声が挙がった。

映画ジャーナリストの関口裕子さんは、「スクリーンに広がるのは、北野武の『キッズ・リターン』の青でも、相米慎二の『夏の庭 The Friends』のグリーンでもなく、緑という名の青(ブルー)」と、先輩監督による青春映画と並べてコメント。映画評論家の西脇英夫さんは、「こんなにピュアでさわやかな青春映画は、久しぶりだ」と賛辞を送っている。

「夏、至るころ」は、緑あふれる山々で友情を育んできた高校3年生の翔(しょう)と泰我(たいが)が、夏祭りを前に初めて自分の人生と向き合い、それぞれの一歩を選びとる物語。女優の池田エライザの初監督作品で、福岡県田川市で撮影された。

■夏木 マリのコメント
初指揮にして
幸せをテーマに抱えるとは何という手腕! 気づかない日常から、
幸せは近くにあることを映す演出は見事です。そして、新人が魅力的な映画は
いい映画に決まっているのです。
監督デビューおめでとう..... 素晴らしい.....

■矢崎 仁司(映画監督)のコメント
絆とか団結とか、
いろいろと不穏な空気の世界に投げ込まれた新鮮なパプリカ。同じ方向に走らされている今、
「いつでも立ち止まっていいんだよ」って手渡されたピクルス。池田エライザ監督は映画と格闘して、
決して甘くも苦くもない、酸っぱい映画を生んだ。ありがとう。

■上白石 萌音(女優)のコメント
池田エライザという人の目に、世の中がどう映っていたのか、そしてどう映っているのかを、
少し覗かせてもらったような気がしました。汗ばんでしまいそうになるほど
静かで熱い夏が詰まっていました。

■南波 克行(映画批評家)のコメント
青春の夏を描く繊細で豊かな場面の連続に、まるで映画を目で聴き、耳で見るかのようでした。全てのシーンはアートとして成立するほど磨き抜かれ、最後にどっと感動が押し寄せる。真の才能の凄さにひれ伏す思いです。

■金子 遊(批評家/多摩美術大学准教授)のコメント
ふたりの高校生の、愛情に転んでしまいそうな揺れる友情。饒舌で空疎な言葉では、本音に届くことはできない。
炭坑町に祭り太鼓を轟かせることで、伝わる気持ちもある。
その九州島の鼓動に、海向こうにあるフィリピンの幻影を見た。

■山田 裕貴(俳優)のコメント
懐かしい気持ちと
あの頃の感情を表現するには ぼくにはもう思い出すことしかできないと思うと
少し寂しくなりつつ…
「若者よ、経験しろ~、いろんな感情を味わえ~」と思いながら見ていました。何かを続ける、辞めるという選択は
自分の人生の中でも想った事…
いろんな感情を味わう事が大人になることなのかなと思ったりもした。
そして、多方面で多彩なエラさん(池田エライザ)の頭の中を垣間見れた気もして俳優仲間として、友人としても、嬉しくなれました。

■轟 夕起夫(映画評論家)のコメント
なんだろう……このどっしりと落ち着いた、けれども時に「ハッ!」とさせる演出は。コズミックブルーな夜の学校のプールは、青春の最高の舞台。若葉のころの“あの夏”を、呼び覚ますような映画だった。

■石川 清(フリーライター/ひきこもり訪問サポート士)のコメント
僕はひきこもりを誘って東南アジアの田舎を一緒によく歩く。アジア特有のまったりとぬくもる時間や空間に没入すると、傷ついた心もゆっくりと癒える。自らの心を窮屈な袋小路に追いこんでしまう、現代人の哀しい状況を解き放つヒントが、この映画で見つけられるかもしれない。

■田中 千世子(映画評論家/映画監督)のコメント
仲良し男子は一緒に学校に行き、一緒に遊んで一緒に昼飯を食べる。これが永遠に続けばいい―。カミユの名言「ただ僕と一緒に歩いて、友達でいてほしい」を受験問題集の中に見つけるシーンにハッとする。女子にはうらやましい男子の友情を綺麗に描きあげて、素敵だ。

■尾形 敏朗(映画評論家)のコメント
地方に住む 17 歳の少年の夏。日常の愛おしさを感じつつ、ゆっくり道を選んでいく。これは時の流れの映画。孵化を見つめるような池田エライザ監督のやさしく冷静な視線にちょっと驚き、それに応えた撮影もよかった。

■浦川 留(ライター)のコメント
青春映画の宝庫、台湾の珠玉の作品群にも通じる清廉な空気感。ゆっくり流れる時間のやさしさとなつかしさ、時に切なさ。
いつか通ってきて、ふとした瞬間に思い出す「今」の輝きがそこにある。

■三橋 曉(ミステリー評論家/コラムニスト)のコメント
和太鼓の力強さに負けない青春映画の鼓動が伝わってくる。未来に迷い、あがく若者たちの姿を追う熱く真摯な目線が、スクリーン越しに容赦なく突き刺さる。やがて見える希望に、家族の温もりが寄り添うのもいい。

■関口 裕子(映画ジャーナリスト)のコメント
熱い感情が、皮膚の下を流れている。スクリーンに広がるのは、北野武の『キッズ・リターン』の青でも、相米慎二の『夏の庭 The Friends』のグリーンでもなく、緑という名の青(ブルー)。山に囲まれた町で育った少年たちの何気なく見える巣立ちに、柔軟性の強さと時間軸に捉われない時間(かち)を発見した。

■西脇 英夫(映画評論家)のコメント
「幸せって、なに?」と思い巡らせる、青春の通過儀礼。どんなに強がっても、チャラぶっていても、その深層には熱くて繊細な心情が脈打っているのだ。こんなにピュアでさわやかな青春映画は、久しぶりだ。

■杉原 賢彦(映画批評/目白大学准教授)のコメント
期待を抱くこと、それはつまり幸福であるということ──アランの言葉を、なによりこの映画に! <明日>を発見することを始める1篇だ。

■小林 淳(映画関連著述家)のコメント
男子高校生 2 人の胸の高鳴りが和太鼓の響きとともに聞こえてくる。神秘的な少女との邂逅、風の囁き、青い空、プールの水音が大人の扉を開けていく。あの夏の日が無性に愛おしい。池田エライザの感性が芳しく香り立つ。

■増當 竜也(映画文筆)のコメント
若き才人・池田エライザが青春=映画に宛てた真摯なラブレター。「地域」と「食」への目配せも巧みに、少年たちの心と体の繊細かつ大胆な躍動を瑞々しく奏で上げていくその力量! 彼女には今後も映画を撮り続けてほしい。

■遠藤 薫(映画ライター)のコメント
大昔、数年だけ暮らした田川という街がやけに懐かしく、不思議に魅力的で、なぜだか泣きなくなった。池田エライザを女優として好きだが、この作品を彼女が監督したと知らずに見ても好きになる。必ず。

■松崎 健夫(映画評論家)のコメント
青春時代と夏休み、若さゆえの熱と夏の暑さ。ひとときの時間や熱気に対する監督の視線には「もう戻ることのない何か」という郷愁がある。汗をかいても気にならない、そんな爽快さを伴う“熱”は若者たちの特権だ。

■佐藤 利明(娯楽映画研究家)のコメント
池田エライザの視点と演出の確かさに、心動かされた。
十代のひとときを、みずみずしく掬い取って、豊かな時間が紡ぎ出された。新たな青春映画の佳作が生まれた。

(※敬称略・順不同)

夏、至るころ
12月4日(金)渋谷ホワイト シネクイント、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13 他
全国順次ロードショー
配給:キネマ旬報DD 映画24区
🄫2020「夏、至るころ」製作委員会

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