IOWN構想の本気度が見えたNTT R&Dフォーラム2020

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NTT研究所の研究成果を紹介する「NTT R&D;フォーラム2020」が11月17日から20日にかけて開催されている。 例年、NTT武蔵野研究開発センターで行われている同イベントだが、今年は新型コロナウイルス感染対策の観点から初のオンライン開催となった。 今年のコンセプトは「Into the IOWN – Change the Future」。

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)とは、NTTが提唱する、光技術を活用し、これまでのインフラを超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソースなどを提供可能とする、ネットワーク・情報処理基盤の構想である。 NTTは2030年の商用化実現を目指し、IOWN実現に向けた研究開発を進めており、2020年6月に発表したNECとの資本業務提携もIOWNの仕様に合わせた機器の共同開発を見据えたものだ。

2020年1月にはNTT、インテル、ソニーの3社でさまざまな業界から参加パートナーを募り、IOWN構想の実現・普及を目指す「IOWN Global Forum」を立ち上げているなどNTTの本気度がうかがえる。

今年の展示ブースは、IOWNのキーテクノロジーを紹介するものをベースに、ネットワーク、AI、セキュリティ、環境エネルギーなど8つのテーマで技術・研究を紹介している。 一般公開を前に、取材許可を得て特別にいくつか展示を見せてもらった。

IOWN構想は「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、「デジタルツインコンピューティング(DTC)」、「コグニティブ・ファウンデーション(CF)」の3つから構成されている。APNは受信先のデバイスから、通信までをすべて光技術でつなぎ、現状の通信よりも大容量、低遅延、低消費電力の通信を可能にするという展望。DTCはモノ・ヒトのインタラクションをサイバー空間上で自由自在に再現・試行可能とするもの。そしてCFはすべてのクラウドやネットワークサービスに加え,ユーザのICTリソースの構築 ・設定および管理・運用を一元的に実施するという構想である。

APNが実現すると、現在ユーザーあたり10Mbpsの通信速度が100Gbpsまで上がることが期待できるという。具体的な例でいえば、現在動画60分(1.37GB)の転送に18分かかるところが、APNだと0.1秒で送信が完了することとなる。 同社はユーザーごとの任意のプロトコルに対応した光接続の提供をめざしており、展示ではシステムプロトタイプや、デモの様子を見ることができる。

また、信号をより遠くへ届けられる光を活かして、CPU・GPU・FPGAなどを光電融合技術でつなぎ、電力あたりの計算能力向上をめざす「光ディスアグリゲーテッドコンピューティング」の紹介も行われている。

演算チップの周辺に光電融合チップを並べて置くことで信号の伝達を早める事ができるとしている。

さらに、2020年7月に宇宙環境エネルギー研究所を立ち上げ、環境エネルギー分野の研究にも力を入れているNTT。環境エネルギーブースでは、落雷制御・充電技術の紹介が行われている。もともと行っていたNTTの通信設備を落雷から守る研究を発展させ、落雷の予測から回避までを行う研究がなされているという。

どのような回避方法をとるのかというと、なんとドローンを活用するのだという。

予測した落下地点にドローンを飛ばし、ドローンが雷を受けるとドローンに接続しているワイヤーから雷を引き込むとしている。 国内では年間1000億~2000億の被害があるという雷害。同社では2年以内に自然に発生した雷を受ける実証実験を行いたいとしている。また、将来的には引き込んだ雷エネルギーの活用も検討していきたいとしている。

そのほか、DTCに向けた取り組みを紹介や、光技術を用いたユースケースの展示、技術セミナーなどさまざまな取り組みが紹介されている。

2020年11月20日訂正:記事初出時、IOWNの表記を一部IWONとしておりました。正しくはIOWNとなりますので、当該部分を訂正させていただきました。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。