ビリー・アイリッシュとフィニアスがうつ病と「everything i wanted」の制作過程について語る

Photo: Kevin Mazur/Getty Images for Live Nation

ビリー・アイリッシュが、兄でコラボレーターでもあるフィニアス(FINNEAS)と共に、アーティストが自らの楽曲について紐解き、作曲やレコーディングのプロセスについて詳しく語るポッドキャスト<Song Exploder>の最新ゲストとして登場した。今週公開されたエピソードは「everything i wanted」に焦点を当てている。

「everything i wanted」は、今年のグラミー賞で5冠に輝いたデビュー・アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』に続く単曲シングルとして2019年11月にリリースされビリー・アイリッシュにとって「bad guy」以降2曲目の全米TOP10ヒットとなった曲で、もともと彼女がフィニアスと共にアルバムの制作作業を終えようとしている頃に書き始めた曲だったという。

自分の死についての恐ろしい夢を見た後、心動かされこの曲を書いたというビリー・アイリッシュは次にように語った。

「あれは紛れもなく、自分が考えていた全てのことが、恐ろしい、恐ろしい現実の中で起こっていくような類の夢で、ずっとその夢のことだけを考えていました」

その後、自身の経験について兄に打ち明けた彼女は、「私たちはただ座って、それについて書かなければならなかったんです」と明かす。一方で、妹がうつ病に悩んでいたことを知っていたフィニアスは、曲づくりを継続することに不安を感じていたという。

「この曲を書いている時に、彼女が自分のうつ病について、いつもよりも明確に表現しているように思えて、実はすごく怖かったんです。だから曲作りには不安を感じていました」

家族で話し合いを重ねた結果、曲づくりを中断することを決めた彼らだったが、心の奥底ではずっとこの曲のことを気にかけていた。それから数ヶ月を経て、アルバムのリリース後にツアーをスタートさせた2人は、少しずつこの曲の制作を再開し、気分が向いた時に一節一節つくり上げていく。

この頃までには、自分の思考に変化が生じていたとビリー・アイリッシュは証言する。

「私は精神的に良くなっていて、メンタルヘルスにも取り組んでいたので、新しい視点でこの曲を見ていましたし、違った見方をしたいとも思っていました」

それを踏まえて、2人はこの曲をどう終えるべきか、また同じような経験を持つファンにどのように手を差し伸べるべきかについて考えを巡らせた。ビリー・アイリッシュにとっては、自分の人生に兄の存在があったことが救いであり、サビ部分の歌詞にはその気持ちが反映されているという。

「私たち2人は、人生の暗い場所からお互いを救い出してきたんです」と彼女は明かした。

フィニアスもこう付け加えた。

「人生において、他人から寄り添ってほしいと助けを求められることがあります。そしてこの曲は、本質的には僕たち自身の、お互いの関係性を歌った曲であり、つまり僕たちは親友であり、兄妹という表裏一体の関係なんだということです」

また、2人は兄弟で共作する利点についても言及している。

「フィニアスに曲を聴いてもらう時、彼が私自身が気付いていない自分を知ってくれているのは、私たちのクリエイティブ・プロセスにとって本当に重要なことなんです」とビリー・アイリッシュは明言し、この曲のプロデュースを手掛けるフィニアスもまた、「ビリーは自己主張が強くて明確なビジョンを持っているので、彼女のために音楽制作をしているときに、何がカラーパレットにあるべきかを知っていることが強みの一つだと思います。兄妹で共作することの数ある利点の一つは、それが非常に脆弱なプロセスでありながら、幸運にもビリーは私を全く恐れていないということです」と語った。

Written By Sophie Smith

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