普天間負担軽減会議が1年2カ月ぶり開催 国との議論、進展せず 形骸化恐れも

 19日に都内で開かれた国と県、宜野湾市の「普天間飛行場負担軽減推進会議」作業部会は、3者が互いの主張を述べ合うにとどまり、実質的に議論は進展しなかった。県や市は開催頻度を高めるよう求めているが、今回の開催は1年2カ月ぶりだった。普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る国と県の対立が背景にあるが、このままでは形骸化の批判を免れない。

 会議は、事務局を務める内閣官房が各参加者の日程を調整する。県や市がいくら望んでも、国が日程を提示しなければ開催できない。関係者によると、1年ごとに開催しても現状や取り組みの確認で終わってしまう。次回までの期間が空くと、担当者や基地の状況が変わり、議論は振り出しに戻る。

 19日の作業部会で、杉田和博官房副長官は作業部会の開催頻度について「年に2回程度」と前向きな姿勢を示した。政権幹部が具体的にめどを示すのは珍しい。ただ、次回の日取りを決めた訳ではなく、実現できるかは不透明だ。 杉田氏は、開催が遅れた理由として新型コロナウイルス感染症のまん延を挙げたというが、実際はコロナが流行する前から滞っていた。埋め立てを承認した仲井真県政時に発足した負担軽減推進会議と作業部会は、新基地建設反対を掲げる翁長県政の時から、開催頻度が落ちていた。

 県や市は19日、普天間飛行場の運用停止・返還のスケジュールや期日を明確にすることも求めたが、国は応じなかった。返還や運用停止の期日設定について、国は辺野古移設に向けた県の協力が前提であるとの認識を示している。危険性除去や街づくりの観点から切実に期日設定を求める県や市とは隔たりがある。

 謝花喜一郎副知事は米軍の戦略変更を踏まえて、在沖海兵隊の分散を求めたが、国側から前向きな返事はなかった。謝花副知事は「双方、主張して終わったというのが今日の実態だ」と振り返った。その後の記者会見で加藤勝信官房長官は改めて辺野古推進の方針を示した。

 一方、出席者によると、杉田氏は作業部会で「辺野古については、県と政府に隔たりがあると認識している。それを前提にした上で危険性除去を真剣に話し合おう」とも発言した。言葉通り、辺野古移設を巡る対立を踏まえつつ、当面の危険性除去について、一致点を見いだすことができるのかが次回の焦点だ。 (明真南斗)

© 株式会社琉球新報社