イギリスとEUの通商交渉、新型ウイルスで中断 参加者に陽性

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ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)後の通商協定をめぐり、イギリスと欧州連合(EU)が続けている交渉で、双方の首席交渉官らが19日、引き下がった。といっても、互いに譲歩したわけではなく、交渉団の一員が新型コロナウイルスの陽性と判定されたことを受け対応を取った。

EU首席交渉官のミシェル・バルニエ氏はこの日、EU交渉団の1人が新型ウイルス検査で陽性の結果が出たとツイートした。ベルギー・ブリュッセルで、イギリスとの交渉を続けていたさなかだった。

バルニエ氏は、「私たちのレベルの交渉を短期間中断することを(英首席交渉官の)デイヴィッド・フロストと決定した」と付け加えた。

また、双方が新型ウイルス対策のガイドラインを「完全に尊重」しながら、協議を続けると表明した。

一方、フロスト氏は、「現状についてミシェル・バルニエと緊密に連絡を取っている」とし、「私たちの交渉団の健康が最優先だ」と述べた。

BBCのニック・ビーク・ブリュッセル特派員は、バルニエ氏が自主隔離に入るとの情報を得たと伝えた。交渉の中断がどれくらい続くかは不明だという。

ビーク特派員によると、イギリスの交渉団のメンバーは自主隔離を求められておらず、ほとんどは近くロンドンに戻るという。交渉はリモートで続けられる見通し。

交渉をさらに困難に

通商協定の交渉は、年末に設定された期限が迫る中、暗礁に乗り上げている。漁業権、競争ルール、協定を守らせる方法が、主な対立点となっている。

ブレグジットの移行期間は、来年1月に終了する。

そうした状況で、今回の中断は交渉進展への妨げとなった。

EU首脳らが19日に開いたビデオ会議では、交渉の状況についても話し合われる可能性があった(議題にはあがっていなかったが)。

今回の交渉が始まる前の15日には、英交渉団のフロスト氏が、「ここ数日でよい方向に前進した」と話していた。

双方の主張に溝

EUとイギリスは、政府補助金の制限についても合意を探っている。EUは、イギリスとの間で不公平な競争を防ぐ必要があるとしている。

交渉では、ブレグジットの移行期間が過ぎた後、イギリスがどれだけEUの社会、労働、環境の基準に従う必要があるのかについても話し合われている。

まとまった協定をどう守らせるのかについても、両者は意見が一致していない。EUは、双方間の争いになった場合、EUが強い権限をもつことを求めている。

EUの漁船がイギリスの水域にどこまでアクセスでき、来年以降どれだけ漁をできるかについても、議論が続いている。

英交渉団のフロスト氏は15日、「重大な要素」がまだ合意に至っておらず、今回の交渉では協定締結に「成功しないかもしれない」と発言。

いかなる協定も「私たちの主権を認め」、「私たちの法律、通商、水域の管理を取り戻す」ことをイギリスに許可するものでなくてはならないとした。

(英語記事 Brexit talks suspended after positive Covid test