【ドラッグストア協会】濫用の恐れのあるOTC医薬品を全世代で本人確認へ

【2020.11.20配信】日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は、濫用の恐れのあるOTC医薬品の販売に関して、全世代で購入時の本人確認を行う方針を決めた。これまで、10代の薬物濫用撲滅を目指し、10代に限定して学生証の提示や申告書記入を求めてきたが、これを全世代に拡大する。

対象となるのは、濫用の恐れがあるとして厚労省が定めている6成分。エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち内用液剤に限る)。

法令の販売ルールよりも厳しい内容となるが、10月23日の理事会で決議され、10月28日にJACDSの池野隆光会長名で会員各社に事務連絡を発出した。

一方、法に定められたOTC医薬品の販売ルールが守られているかどうかを厚労省は毎年、調査している。同調査では、濫用の恐れのある医薬品の販売方法順守率は改善傾向にあるものの、ドラッグストアで69.1%、薬局で79.4%と、業態間格差が拡大している。

JACDSでは、こうした状況に「安全に届けることを使命とするドラッグストア業界として見過ごせない」と強い危機感を抱いており、「市販薬の販売ルールを遵守徹底するための重点実践計画」を理事会で決議するに至ったという。

6成分を含む製品の販売においては本人確認の申告書を用意し記入を求める。記入が難しい場合は、運転免許証や学生証の提示を求めるとしている。確認できない場合は販売しないとした。また、販売する場合でも一律で1包装に限定する。

法令では、濫用の恐れのある医薬品の販売に際して、「原則、1人1包装単位」、「若年者への販売時のみ氏名と年齢の確認」などを定めている。

併せて、薬剤師の関与が必須の要指導医薬品、第1類医薬品の販売ルール順守についても「重点的取り組み」と位置づけ、本人確認や文書による情報提供、理解・再質問の有無などの確認の徹底を改めて求めた。

要指導医薬品と第1類医薬品の販売ルールの遵守率については、70%台に停滞していることで、スイッチOTC促進の阻害要因にもなっている。
業界としては、販売ルール調査の結果向上をもって、スイッチOTC促進につなげたい思惑もある。
JACDSは、「業界悲願のスイッチOTC化促進の前提でもあり、会員企業一丸となった取り組みが必要」としている。

具体的な取り組みとして、店舗・薬局で販売を行う薬剤師・登録販売者に対し、研修や訓示、会議等の場で法令遵守の深刻な現状と必要性を説明するとともに、販売ルールを提示して実践を徹底することなどを挙げている。また、進捗を定期的にフォローすることを求めた。

© 株式会社ドラビズon-line