【日本S】屈辱の4連敗から巨人がホークスに勝つ条件は? 元鷹コーチが指摘する初戦の重要性

巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

ホークス撃墜には先発投手を早めに攻略、柳田を抑える、周東を出塁させない

ソフトバンクは15日、本拠地PayPayドームで行われた「パーソル クライマックスシリーズ パ」第2戦でロッテを6-4で下し連勝。21日開幕の日本シリーズでは、原辰徳監督率いる巨人と2年連続で対戦することになった。昨年は4勝0敗で圧倒。1軍、ファームを含め5年間ソフトバンクのコーチを務めた飯田哲也氏(昨年は3軍外野守備走塁コーチ)に、巨人がリベンジするための3条件を挙げてもらった。

CSでもロッテに連勝し、異次元の強さを見せつけたソフトバンク。しかし、第1戦先発の千賀はロッテの安田に先制2ランを許し、第2戦先発の東浜も立ち上がりに制球を乱して1回に一挙3点を奪われた。今季、防御率2.16、11勝、149奪三振で3冠に輝いた千賀も、付け入る隙が全くないわけではない。

飯田氏は「今季の千賀は、速球、カットボール、スライダーは申し分ないが、フォークのキレだけはいまひとつ。ふわっとした感じで、打者にとっては比較的打ちやすい。安田に浴びた一発も、フォークを打たれたものだった」と解説。

「ソフトバンクはリリーフ陣も充実しているので、巨人としてはまず、先発投手を早めに攻略しないと勝ち目が薄くなる」と見る。

飯田氏は巨人日本一なら4勝3敗、ソフトバンクなら4勝0敗か4勝1敗の可能性を指摘

もちろん、相手の先発投手を攻略できたとしても、ソフトバンクの強力打線に打ちまくられたら元も子もない。飯田氏は「巨人としては、やはり柳田を抑えられるかどうかが鍵。彼が打つとチームの雰囲気が俄然盛り上がりますから」と指摘する。柳田はこのCSでも14日の第1戦で、難敵・美馬からバックスクリーン左の中堅席へ一発を放つなど、4打数3安打1打点。第2戦は4打席のうち出塁は7回2死三塁での申告敬遠だけに終わったが、存在感は格別だった。

また、昨季に比べると格段の成長を遂げ、シーズン終盤の10月にメジャー記録をも上回る「13試合連続盗塁」の日本新記録を樹立した周東も、原巨人にとっては要注意だろう。

CS第1戦では4打数無安打に終わった周東だが、第2戦では3回に左翼線二塁打。1点リードの7回1死三塁では、勝利を大きく引き寄せる適時三塁打を放った。持ち味の盗塁は、2試合を通じてなかった。

飯田氏は「優勝がほぼ決まっていたシーズン終盤と違い、短期決戦では1つの盗塁失敗が大きく流れを変えることもあるので、周東といえども、慎重にならざるをえない。盗塁よりも、送りバントが重要になるでしょう」と言う。それでも「周東が塁に出れば、巨人バッテリーは打者に集中できないし、ストレート系が増えて、中村晃、柳田、グラシアルといった主軸に打たれる危険性が増す。周東を極力出塁させないことも重要」と指摘した。

「巨人は昨年一蹴されているだけに、第1戦で完敗すると、意気消沈してズルズル行ってしまいかねない」と飯田氏。「巨人が日本一になるとすれば、4勝3敗。ソフトバンクの場合は、4勝0敗や4勝1敗の圧勝もありうる」と予想した。初戦の結果と内容は、例年以上に重要になりそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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