11月17～18日、2021年のスーパーバイク世界選手権（SBK）に向けたウインターテストがスペインのヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われ、野左根航汰（GRTヤマハ・ワールドSBKジュニアチーム）は初のSBKテストを経験。トップタイムは新型のカワサキZX-10RRを走らせたジョナサン・レイ（カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK）が記録した。
ヘレスでのウインターテストはカワサキ、ヤマハ、ホンダのライダー11名とステファン・ブラドルがMotoGPのホンダRC213Vの開発で参加した。初日のはじめは霧でスタートが遅れたが、2日ともに晴天のドライコンディションで各メーカーが2021年シーズンに向けて走行を重ねていった。
初日は、カワサキのレイとアレックス・ロウズは現行のマシンで走行してトラブルを抱えたもののすぐにコースに復帰。トプラク・ラズガットリオグル（パタ・ヤマハ・ワールドSBKオフィシャルチーム）は新しいブレンボキャリパーをテストし、ブレーキやエンジンブレーキなどの改善に勤しんだ。また、チームメイトになるアンドレア・ロカテッリはバイクに慣れるために周回した。
TEAM HRCのレオン・ハスラムとアルバロ・バウティスタはすべてのセットアップと電子制御に焦点を当てて走行し、異なる特性を持つピレリタイヤもテストしたという。また、2020年シーズン中にテストをすることができなかったパーツの評価も行った。
全日本ロードのJSB1000クラス王者となった野左根は、SBK仕様のヤマハYZF-R1を駆り、チームメイトのギャレット・ガーロフとともに2019年と2020年仕様のマシンで周回を重ねた。ガーロフは2020年仕様のマシンを使用するとタイムを上げており、2020年型はフィーリングとグリップが改善されているという。
2日目はカワサキ・レーシングチーム・ワールドSBKが新型のカワサキZX-10RRをお披露目。フロントの安定性と空力特性の向上を目的とした新しいフロントフェアリングを備えた新型マシンで、レイはテストの終盤にトップタイムとなる1分38秒324をマークしている。
2番手タイムはラズガットリオグルで、2020年と2021年仕様のヤマハYZF-R1をテスト。2日目はブレーキだけでなく低速コーナーのターンを改善するためにも走行した。
ガーロフも2020年と2021年仕様のマシンを駆り、ベストタイムを記録。野左根は引き続きマシンとコース、タイヤに慣れるために走った。TEAM HRCは旋回とリヤのトラクションを改善するために引き続きテストを行った。
野左根は「自分にとっては、何もかもが初めての経験でした。マシン、タイヤ、サーキットなどすべてが新しく、最初はかなり不安だったのですが、2日間の走行のなかで少しずつペースを上げていくことができました。非常に充実した、効果の高いテストになりました」とコメント。
「コロナウイルス感染症が拡大するなかで、このテストに参加できるかどうか、なかなか確定しませんでしたが、幸い参加できることになり、このように非常に貴重な経験をすることができました。GRTヤマハのみなさんが温かく迎えてくれて、ガレージ内の雰囲気は最高です。彼らが全力で支えてくれるので、自分もベストを尽くし、良い結果や自分の成長で応えたいと思いました」
「チームメイトのギャレット・ガーロフ選手も優しく接してくれます。楽しい会話ができたことも、この2日間の貴重な経験のひとつです。来シーズンは集中して学び、最大限に進化し、目標達成を目指したいと思います。そのためにベストを尽くすとともに、英語の練習も頑張ります」
■初日タイム結果 ※非公式
1.ギャレット・ガーロフ（GRT Yamaha WorldSBK Junior Team）：1’39.571
2.ジョナサン・レイ（Kawasaki Racing Team WorldSBK）：1’39.955
3.トプラク・ラズガットリオグル（PATA YAMAHA WorldSBK Official Team）：1’40.055
4.アレックス・ロウズ（Kawasaki Racing Team WorldSBK）：1’40.116
5.レオン・ハスラム（Team HRC）：1’40.294
6.アルバロ・バウティスタ（Team HRC）：1’40.342
7.アンドレア・ロカテッリ（PATA YAMAHA WorldSBK Official Team）：1’40.579
8.ルーカス・マヒアス（Kawasaki Puccetti Racing）：1’40.852
9.イサック・ビニャーレス（ORELAC Racing VerdNatura）：1’41.916
10.野左根航汰（GRT Yamaha WorldSBK Junior Team）：1’41.946
11.ロリス・クレソン（OUTDO Kawasaki TPR）：1’44.808
■2日目タイム結果 ※非公式
1.ジョナサン・レイ（Kawasaki Racing Team WorldSBK）：1’38.324
2.トプラク・ラズガットリオグル（PATA YAMAHA WorldSBK Official Team）：1’38.840
3.アレックス・ロウズ（Kawasaki Racing Team WorldSBK）：1’38.887
4.ギャレット・ガーロフ（GRT Yamaha WorldSBK Junior Team）：1’39.172
5.レオン・ハスラム（Team HRC）：1’39.852
6.アンドレア・ロカテッリ（PATA YAMAHA WorldSBK Official Team）：1’39.878
7.ルーカス・マヒアス（Kawasaki Puccetti Racing）：1’40.195
8.アルバロ・バウティスタ（Team HRC）：1’40.232
9.野左根航汰（GRT Yamaha WorldSBK Junior Team）：1’40.670
10.イサック・ビニャーレス（ORELAC Racing VerdNatura）：1’40.893
11.ロリス・クレソン（OUTDO Kawasaki TPR）：1’43.187
