旧藤村家住宅、有形文化財に 野々市で初

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 文化審議会(佐藤信会長)は20日、野々市市本町2丁目にある旧藤村家住宅(田村家住宅)を登録有形文化財(建造物)にするよう萩生田光一文部科学相に答申した。登録されれば野々市市内では初めての登録有形文化財で、石川県内の登録件数は278件、全国では1万2983件となる。今年度内にも答申通り告示される見込み。

 旧藤村家住宅は、野々市市の旧北国街道沿いに位置する近代和風建築である。もとは明治、大正期の実業家で野々市村村長も務めた藤村理平氏の旧宅で、1878(明治11)年の明治天皇の北陸巡幸時は休憩所に充てられた。市教委によると、休憩所に使われた23カ所のうち、現存は同住宅を含めて3カ所のみ。

 旧藤村家住宅は主屋や離れ、前の蔵、表門、土塀などの8件で構成される。建築年代は分かれており、最も古い前の蔵(土蔵造り2階建て)は建築様式から江戸末期と推測され、明治後期に改修している。

 主屋は木造瓦葺き2階建てで、建築面積は247平方メートル。後の所有者が1937(昭和12)年に建て替えたが、明治天皇の「御小休所」で使われた座敷部分などを離れ(木造瓦葺き平屋建て、124平方メートル)として残したのをはじめ、表門、後ろの蔵など明治前期とみられる建造物が現存している。

 北国街道の宿場町であった野々市を代表する住宅の一つであり、その近代の歴史を伝える建物と屋敷構えが貴重とされる。所有者が現在住んでいるため、通常は一般公開されていない。

 所有者の田村昌俊さん(85)は「市の価値ある文化遺産として後世へ残していかなければならないという思いを強く持った」と語った。市教委は「イベントで部分的な公開ができないか所有者と検討したい。市中心部の古い街並みに目を向けるきっかけになればいい」としている。