「核禁条約」政府参加を 長崎、広島市長要請 国は否定的

要請文を鷲尾副大臣(右)に手渡す田上市長と松井市長=外務省

 核兵器禁止条約の来年1月の発効が確定したことを受け、田上富久長崎市長と松井一実広島市長が20日、外務省を訪れ、政府に条約への署名と批准を求めた。直ちに参加することが難しい場合は、締約国会議にオブザーバーで参加することや、締約国会議を被爆地で開催することを要請した。
 菅義偉首相は国会答弁で署名にもオブザーバー参加にも否定的な答弁を繰り返している。終了後、両市長によると、この日面会した鷲尾英一郎副大臣も条約参加に慎重な従来の政府の姿勢を崩さなかったという。
 当初、要請内容には入っていなかったが、田上市長は米大統領選で勝利を確実にしているバイデン氏の被爆地訪問を後押しすることも併せて要請。田上市長は「バイデン氏は、被爆地広島を初訪問したオバマ前大統領時の副大統領。可能性はあると思う」と話した。
 条約の署名、批准を求める要請文では「政府が核保有国と非核保有国の橋渡し役としてリーダーシップを発揮するためには核兵器廃絶に向けた議論に参画し、推進力となることが必要」と指摘。被爆者の思いを受け止めることを求めた。
 条約は2017年7月に国連で採択され、今年10月下旬に批准数が発効に必要な50カ国・地域に達した。一方、核兵器保有国は条約に反対しており、日本も「核廃絶へのアプローチが異なる」として参加していない。

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