児童虐待を描いた映画「ひとくず」 湯布院映画祭で上映 シンポジウムでは絶賛と児童虐待への意見の声

児童虐待に傷つく子どもと虐待をしてしまう大人の双方を描いた映画「ひとくず」が、このほど開催された第45回湯布院映画祭で上映され、上映後のシンポジウムでは絶賛の声が挙がった。

「ひとくず」は、虐待される日々を送る少女・鞠、幼い頃に虐待を受けていた破綻者・金田、自身もまた虐待を受ける過去を持つ鞠の母・凛たちの姿を描いた作品。実の父親が母親に手をあげているのを日常的に見て育ったという上西雄大さんが、監督・脚本・編集・プロデューサーに加え、金田を演じている。ロンドン国際映画祭で外国語部門最優秀作品賞(グランプリ)と最優秀主演男優賞(上西雄大)を受賞するなど、高い評価を受けている。

シンポジウムでは、上西雄大さん、北村凛役の古川藍さん、金田佳代役の徳竹未夏さんが出席して行われた。上西さんは、「どうしてもこの映画で描きたくて、たった一晩で脚本を書き上げた」と子供の虐待への怒りを込めて語った。客席からは、「子供食堂にも虐待されている子供たちがたくさんいます。このような映画を作ってくれてありがとうございました」という言葉も挙がった。その後も虐待に関しての意見が次々に挙がり、脚本を書き上げた上西の強い願い通り、虐待について深く考える作品となったことを感じさせるシンポジウムとなった。

最後には歯に衣着せぬ批評で有名な映画祭の常連客からも、「(本年の)由布院映画祭の最後を飾るに誠にふさわしい作品を上映していただいた」と絶賛の言葉が。約5分間に渡って鑑賞後の興奮を熱を込めて語ると、会場からは大きな拍手が送られた。

「ひとくず」は、全国順次公開中。

© 合同会社シングルライン