海外渡航予定の学生に、大阪大学が危機管理の研修プログラムを開発、提供へ

大阪大学大学院国際公共政策研究科グローバル・リスク・ソリューションズ・センター(GRSC)では、研究主幹の塚本俊也特任教授が6th株式会社との連携による共同研究を2019年9月から開始。今回その成果の一つとして、国際ボランティア活動など、海外に渡航予定の学生向けの危機管理Eラーニング・プログラムを開発し、2021年から大学・教育機関に提供する予定。

通常、日本の大学などでは、出発前の学生へのリスク研修は、出発直前に1~2時間ほど行うだけで、学生がどこまで理解しているかを十分に確認しないないまま派遣してしまっているのが現状。また、大学が行う研修は大学が認定する正規の交換留学プログラムや研修に参加する学生を対象としたものが多く、個人的な留学や海外研修、インターンシップ、ボランティア活動などの一般的な海外プログラムに参加する学生まで手が届いていないケースも多い。学生たちが海外で災害や犯罪に巻き込まれたりすることは、大学にとってのリスク・マネジメントの課題ともいえる。

このような状況を背景に、GRSCでは、日本の教育機関から海外に出る学生のリスク意識やリスク対応能力を向上させることを目的に、危機管理Eラーニング・プログラムを開発した。このプログラムは、「テロに対する心構え」や「海外で災害に見舞われた場合の対応」、「麻薬に関すること」などについて、学生自身のリスク管理の理解度をA-Dランクで数値化して「見える化」し、各自が自分のリスクに対する理解度のレベルを把握することができる。

また、大学全体、学部、留学プログラムごとに、各学生の海外での学びに伴うリスクの理解度を分析することが可能で、その分析結果に基づいた助言を学生に提供することもできる。さらに、withコロナ/afterコロナの状況を考え、基本的なコロナ対策、または一般的な感染症対策も盛り込んだ内容となっている。

「グローバル活動(留学・研修など)に参加する学生向け」のEラーニング・プログラムは、現在システム化し試用の段階にあり、大学・教育機関に提供するのは2021年からを予定している。将来的にはWebアプリで提供し、日英2言語で利用可能とする。このほか、派遣する側の大学の教職員向けや海外から日本に来る留学生向けの危機管理Eラーニング・プログラムも開発している。

参考:【大阪大学大学院国際公共政策研究科 グローバル・リスク・ソリューションズ・センター】大阪大学GRSCと6th株式会社と共同研究プロジェクト

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