困窮学生支援

 先月、新型コロナウイルスの影響でバイトがなくなった上、国の支援制度の対象にならず困窮している学生を紹介した▲学生は3年間の浪人生活を経て医学部に入学。家庭の事情でもともと金銭的に厳しかったのに、塾のバイトがなくなった。国が低所得世帯向けに「大学無償化」の新制度を始めたが、対象は2浪の学生まで。経済的に追い込まれてしまった▲この記事が新聞やネットに載ると、全国から支援したい、助けたいという声が数多く寄せられた▲その中の一人に高齢の女性がいた。女性は娘が1歳6カ月のときに夫を亡くした。生活は大変だったが、なんとか娘を大学まで出した。「母娘で苦労してきたので学生さんの苦労もよくわかる。大学を辞めることになったらと思うと…」と、胸中を語った▲使っていない給付金や年金の中から少しでも援助したいという女性に、バイトの紹介をしてくれる人なども出てきて学生さんは大丈夫そうですよ、と伝えると安心してくれたようだった▲新型コロナをめぐり、誹謗(ひぼう)中傷や差別的な言動が絶えない。一方、医療従事者に感謝の気持ちを伝える人や集団感染が起きたクルーズ船の船員へ励ましの言葉を寄せた人もいた。コロナ禍に巻き込まれた人を応援し、助けたいという人が大勢いたことを心に留めておきたい。(豊)

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