丹沢・大山を甘くみないで 「迷った」「動けぬ」救助出動すでに42件、ここ10年で最多

登山客に早めの下山など安全確保策の徹底を呼び掛ける伊勢原署員=大山の頂上登山口

 多くの登山者に親しまれる大山(1252メートル)で9月以降、警察や消防への救助要請が急増している。初心者でも登りやすいとして人気だが、紅葉が見頃を迎える3連休、関係者は「ゆとりある登山計画と入念な準備で臨んでほしい」と呼び掛けている。

 「現在地が分からない」。17日早朝、切迫した息づかいの男性から110番通報があった。大山を下山中に道に迷ったという。神奈川県警は直ちに救助隊をヘリコプターで出動させ、同日昼ごろに救助。男性は頭部に軽いけがを負った。前日夕方に山頂に着いたが、下山中に日が暮れて進退窮まった。軽装で雨具やライトは持っていなかった。

 伊勢原署によると、こうした大山への救助出動は19日現在で42件。すでに昨年の25件を上回り、ここ10年では最多という。とりわけ、登山シーズンの9月以降に27件が集中。11月だけで13件に上り、署幹部は「コロナ禍で都市部のレジャーを避け、首都圏からアクセスしやすい大山登りを楽しもうとしている人が増えているのかもしれない。ただ自然を甘くみてはいけない」とくぎを刺す。

 内訳では転倒や「疲労で動けない」、「道に迷った」などが大半だが、滑落も3件あった。深刻な状況を踏まえ、署は今月17日から中腹の大山阿夫利神社下社周辺に複数の署員を配置。資機材もそろえて当面の間、有事に備える態勢を取る。

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