【日本S】巨人を圧倒した2連勝 ソフトバンクにとって大きかった“3つのポイント”

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:福谷佑介】

1つ目のポイントは初回の猛攻「1番大きかった」

■ソフトバンク 13-2 巨人(日本シリーズ・22日・京セラドーム)

ソフトバンクが2連勝で4年連続の日本一に大きく前進した。22日に京セラドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第2戦。序盤から打線が爆発して圧巻の13得点。シリーズ成績を2勝0敗とし、2018年の第3戦からの連勝記録を更新する日本シリーズ10連勝となった。

力の差を見せつけるかのような圧勝だった。巨人の出てくる投手、出てくる投手を打線が餌食にした。打ちも打ったり13安打15得点。圧勝だったが、この日の試合では今後のシリーズの行方も左右する3つの“勝負のポイント”が見えた。

その1つが初回の猛攻だ。柳田が中堅の頭上を超える適時二塁打を放って先制すると、グラシアルの内野安打で二塁の吉川尚が悪送球して1点を追加。さらにデスパイネの三ゴロの間にも加点し、初回だけで3点を奪った。工藤公康監督は「1番大きかったのは初回に点を取れたこと。繋がりがあって大きかったと思います」と振り返る。

この初回の攻撃で勢いづくと、2回には甲斐が育成出身者としてシリーズ初となる本塁打を放って1点を追加。さらに3回にはグラシアルが2ランを放ち、序盤で6点のリードを奪った。

2つ目のポイントは5点リードで迎えた6回の守りだ。5回に先発の石川がウィーラーに2ランを被弾。この回は1死から坂本、岡本に連打を許して1死一、二塁とされた。ここで工藤監督は好投していた石川からリリーフ陣への継投策を選択。丸に対して“左キラー”の嘉弥真を送り、狙い通りに空振り三振に仕留めた。

凌いだ6回の守り、3戦目以降も見据えた選手起用

続く亀井のところで代打・石川が送られると、すぐさま右の高橋礼にスイッチ。サブマリン右腕は代打の代打・田中俊には四球を与えたものの、中島を空振り三振に仕留めて窮地を脱した。リードを縮められるだけでなく、巨人打線を勢いづかせかねない場面を切り抜けた。

指揮官も「6回はミソだった。なんとかあそこを凌げれば、と思っていた。取られたとしても1点、2点くらいにしたかった。7回以降は差が狭まれば、出す投手は決まっていたので。6回で同点とか1点差にいったら嫌だった」と言う。7回以降は岩嵜、モイネロ、森と全幅の信頼を置くリリーフ陣がいる。セーフティリードを守って終盤を迎えたいと言う思惑通りだった。

その直後にデスパイネの満塁弾が飛び出し、リードは9点に広がった。このグランドスラムも点差を広げる以上に大きな意味を持った。7回裏の守備から柳田、グラシアル、中村晃の中軸3人をベンチに下げ、明石、上林、真砂を起用。さらに9回には代打で長谷川、川瀬を送り、投手も8回に杉山、9回に椎野を登板させた。

主力を休ませ、それと同時に控えのメンバーに日本シリーズと言う舞台を経験させる。投手陣も3戦目以降を見据えて、若い投手にマウンドを経験させることができた。「ベンチにいるだけでは難しい。1打席でも立つ、1球でも投げられれば。先のことを考えると起用法も変わる。デスパイネの一発は大きかった」と指揮官も語った。

2勝0敗という圧倒的優位な状況にして本拠地の福岡へと戻ることになったソフトバンク。戦い方も盤石、そして選手の運用も先を見据えた準備をできた。「1日空きますけど、シーズン中から切り替えて次の試合に向けてやってきた。切り替えて3戦目。終わったことよりも次の試合に集中してやっていく」。決して浮かれない工藤監督。4連勝での4年連続日本一に突き進む。(Full-Count編集部)

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