【日本S】連敗スタートの巨人が巻き返すためのキーマンは? 流れを変えるベテラン捕手の存在

巨人・炭谷銀仁朗【写真:荒川祐史】

捕手を炭谷、1番を増田大に代えるのも“あり”

■ソフトバンク 13-2 巨人(日本シリーズ・22日・京セラドーム)

巨人は22日に京セラドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第2戦で、ソフトバンクに2-13の大敗を喫し0勝2敗。0勝4敗で一蹴された昨年のトラウマがよみがえる展開だが、原巨人が逆襲に転じる糸口はあるのか。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で21年間も捕手として活躍した野口寿浩氏が提言した。

巨人は21日の第1戦で2回に栗原に先制2ランを浴び、この日の第2戦では先発・今村が1回にいきなり3点を失った。立ち上がりに失点して意気消沈する展開が続いた。

もっとも、第3戦からは舞台を敵地PayPayドームに移し、攻撃は後攻から先攻に変わる。野口氏は「ソフトバンクに先に点を取られると、横綱相撲を取られ、崩すのが難しくなる。第3戦の1回表に、巨人が複数得点を取れれば、シリーズ全体の流れが変わる可能性がありますよ」と言う。

相手の先発は第3戦が来日1年目の左腕ムーア、第4戦は同じ左腕の和田と予想される。「シーズンを見る限り、ムーアはいいボールは持っているけれど好不調の波が激しい。和田とは過去に交流戦などで何度も対戦している。少なくとも千賀、石川に比べれば、巨人にとって組しやすい相手です」と野口氏は指摘する。

「岡本がタイムリーを打って点が入る形が、巨人にとっては1番いい」

とりわけ「岡本がタイムリーを打って点が入る形が、巨人にとっては1番いい」と付け加えた。岡本は第1戦で徹底した内角攻めにあい、この日も2回先頭の第1打席はフォークを振らされ三振。4回の第2打席も遊ゴロ。6回は第3打席で、真ん中高めの146キロ速球を中前へ運び、今シリーズ初安打をマークしたが、「本来なら、本塁打になっていてもいい球だった。前日のインコース攻めで、少しずつ開きが早くなっている」と野口氏は見た。ソフトバンク側が岡本をマークするのは、それだけチーム全体のムードに与える影響が大きいと見ているから。だからこそ、巨人が劣勢をはね返すには、岡本の打棒爆発が不可欠なのだ。

第1、第2戦を通して変わらなかった打順の組み替えは、必要ないのだろうか。野口氏は「大幅に打順を変えても、混乱をきたすだけ」とした上で、「捕手を大城から、西武出身でソフトバンクとの対戦経験豊富な炭谷に代え、大城は2試合無安打の亀井の代わりにDHに入れる手はあると思う」と語る。「大城はホークス打線に打ちまくられ、捕手としてへこんでいると思うが、打撃に集中させれば、しぶとさが生きると思う」と説明する。

「1番打者を、左打ちの吉川尚から、右打ちの増田大に代えるのも“あり”かな。増田大は今季チーム最多の23盗塁をマークした俊足に加え、打率も良かった(.297)ですから」とも。ともかく、このまま2年連続でほとんど無抵抗のまま敗退するようでは、巨人ファンは泣くに泣けない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2