<南風>リモートワーク

 昨今、直接会うことなく仕事ができるリモートワークが行われている。ドラマや芝居の現場も、例外ではない。

 先日、ドラマの収録が行われた。題名が「リモートワーク」オンライン上の会議シーンで構成されたもので、現場も4カ所に分かれた。実際にオンライン上で撮影されたので、俳優4人は直接会うこともなく、まさに今の時代を反映しているものとなった。通常と異なる撮影のため、機材、ネット環境のトラブルも多かった。しかし、現場は一丸となって気づけば、予定時間より早く終了することができた。

 帰宅すると、パートナーが、実際にオンラインでの仕事をしていた。SNSに寄せられた相談を数人の相談員が応えるというものだ。

 遠く離れた人と、コミュニケーションを取れるというのは大きなメリットで、経済的にも良い面と言える。パートナーが行っている相談も、オンラインという気軽さが若者には支持され相談件数も右肩上がりである。また、リモートでつながれることで相談員は全国におり、その結果、各地の情報を集約し支援に生かせるという。

 一方、コミュニケーションは、その場の空気を感じることが必要である。それが、モニター越しにどれくらい伝わり、感じ取れるかというデメリットもある。

 先日、パートナーの関わる「フラワーデモ」が行われた。密を避けるため直前の告知でも、10人を超える参加者がいたそうである。私の劇団公演も先週末行った。客席数を半減したが、約80人の方が来てくれた。来てくれた方々に共通していたのは、人とのつながりを欲しているということ、生のコミュニケーションの機会でもあった。その場の空気感を味わえる日が戻ってくれるまで、工夫の日々である。

(当山彰一、俳優)

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