社説[GoTo一時停止]経済支援策も一体的に

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 爆発的な感染へ向かいつつある重大な局面だ。いったん規模縮小へかじを切るのもやむを得ない。

 菅義偉首相は21日、自ら音頭を取ってきた観光支援事業「GoToトラベル」の運用見直しを表明した。新型コロナウイルス感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止する。飲食業界を支援する「GoToイート」も、都道府県知事にプレミアム付き食事券の新規発行停止を求める。

 多くの人たちが観光地に繰り出した3連休のさなかの制限要請が映し出すのは、政府のちぐはぐでドタバタした対応だ。

 前日の20日、感染症対策分科会はGoToキャンペーンの運用見直しを求める提言をまとめた。

 都市部を中心に感染が急拡大する中、「人々の健康のために英断を」という専門家の危機感に押され、ブレーキに足を移した格好である。

 コロナ禍による日本経済の落ち込みは深刻だ。特に観光業や飲食業が大打撃を受けている。

 首相はこれまで経済再生を優先しGoTo見直しに否定的だった。「両立」に固執するあまり泥縄的な対応になったことは否めない。

 未知のウイルスとの闘いは終わりが見えず、感染予防と経済活動の両立をどう図るかは困難な作業である。

 事業や雇用を守ることはもちろん重要だ。ただ今の状態で何も手を打たなければ、医療体制を維持できず、経済活動にさらにブレーキをかける事態になりかねない。

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 トラベルの新規予約の一時停止に関し、具体的な見直し時期や対象地域は示されていない。

 回復の手応えを感じ始めていた観光業者や飲食店などは、政府の方針転換に再び不安を募らせている。

 分科会は、4段階の基準で上から2番目の「ステージ3(感染急増)」の地域をトラベルから除外するよう求めている。政府は「都道府県知事と連携しながら対応する」方針だ。

 北海道、東京、大阪、沖縄などは、感染状況を判断する指標の一つ病床使用率が18日時点で「ステージ3」に相当する数値となっている。

 見直しの前提となるステージは六つの指標に基づき知事が総合的に判断することになっているが、県をまたぐ移動制限などは政府が主体的にかかわるべきではないか。

 トラベル見直しで発生するキャンセル料が生じない仕組みも整える必要がある。

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 22日の新規感染者は2100人余りで5日連続で2千人を超えた。県内も32人で高水準が続く。

 政府は感染状況によって自治体が再び飲食店に時短営業を求める際の財政支援を打ち出している。

 GoToを一時停止した場合、その地域や事業者への経済支援策も責任を持って実施すべきである。

 県内では夏場の感染拡大で病床や看護師不足に陥り混乱が広がった。冬場の医療・検査体制の総点検も急がなければならない。