【人生を変えることば選び】SNS炎上を避ける心得「同じマウンドに上がらない」

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コロナ禍でのストレスがSNS発信を過激にさせている可能性もあるが…(写真はイメージ)

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】最近SNSでの批判的なコメントがよく取り沙汰されます。

無記名であることがコメントの刃先をとがらせてしまうのでしょう。無記名同士のやりとりならまだしも、生身の実名の存在がそれを受けると、心は大きく傷ついてしまいます。ことばの力は、良くも悪くも強力です。刃先の鋭さをよく見て、安易に振り回さないようにしたいですね。

人はどうしても、相手より自分の方がすぐれている、と見せたいもの。「マウントをとる」と最近よく言いますが、オス猿が力関係を示すために他のオス猿の尻に馬乗りになるような感じで、相手を見下したり、自分を強く見せたり、話をかぶせたりしてしまう。実は人間の脳は1万年進化していないと言いますから、これも本能の名残でしょうか。

そう考えてみれば確かに、SNSに始まったことではないですよね。昭和の時代、私の周りにもたくさんいました。マウントおじさん。ことに私が生まれ育った北千住あたりの下町では、「オレに言わせりゃよ!おじさん」の多かったこと(笑い)。ただ、その人たちはまだ実名で「言わせろ!」だったので発言に責任も持っていたように思います。で、奥さんに言い返されてシュンとするなど、一面ではかわいらしい人たちでした。

おそらくSNSの無記名の「言わせろ!」さんたちも、根はかわいらしい人たちなんだと思います。本当は自信がなくて、怖くて、だから大声になる。昔も今も変わりません。もちろん私も。とはいえ、言われた方はたまりません。反論すれば炎上するし、沈黙すれば心が痛む。

こんな時の対処で、私の知り合いが見事なことば選びをしていました。何年か前、その方の主宰するサイトが炎上した時、私はハラハラしていたのですが、その方は悠然とこうコメントしたのです。

「おおお、にぎやかじゃのう~」

まるでおじいさんが生け垣の向こうの騒動を気にもとめず、お茶でも飲んでいるようなセリフ。さすがでした。

このコロナ禍においてはささいなひと言が気になってしまうことも多いかと思います。そういった場合もあくまで同じマウンドには上がらず、小春日和の縁側のように、おだやかに過ごしたいですね。

☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。