ずる賢い人が生き残る世の中?騙された夫を信用できなくなって…

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コロナ禍で苦しんでいる人もいる一方、いろいろな手段で稼いでいる人、たまたま運が巡ってきて儲かった人など、さまざまな人がいるようです。収入が減った分、別の方法で少しでも補填したくなるのが人情というもの。その人たちのなけなしのお金が「ずる賢い人」に回っていくとしたら、なんとも世知辛い世の中ですよね。


夫を信頼していたのに

派遣社員として働いていたイクエさん(43歳)は、この夏、派遣先の会社の業績悪化にともない、雇い止めされてしまいました。結婚して13年、ふたりの小学生を抱え、なんとか共働きでがんばってきたので、将来への不安が一気に増したといいます。

「夫は夏頃には通常出勤に戻っていました。早く仕事を見つけようと思ったけど、子どもたちが夏休みだったこともあり、学校が始まったら本格的に探そうと、とりあえず近所のお弁当屋さんで週に3日、アルバイトを始めたんです。その店は過去にも働いたことがあるのですぐに雇ってもらえて」

8月下旬、子どもたちの学校が早めに始まり、イクエさんも本格的に職探しに突入しました。派遣会社があてにならないので、アルバイトの日以外はひたすら職探しに奔走。そんなある日、夫が言ったのです。

「友人が海外投資に詳しい。お金を預けたら増やしてくれるというんだけど、もしへそくりがあったらやってみないかって。海外投資なんてわからないし元本保証されないしと迷っていたんですが、夫は『凄腕の信頼できる人だから』とやけに熱心なんです。損はしない投資だと。今考えるとそんなおいしい訳はないのですが……。子どものための貯金だからと何度も断りました。だけど夫は最後には、『オレが信用できないのか』と逆ギレして。『そもそもオレの稼いだお金じゃないのか』とまで言われたので、貯めておいた100万円を夫に託したんです」

本当はもっと少額から始めたかったというものの、夫から100万くらいあったほうが利益が出やすいと説得されたのだそう。イクエさんもにわか勉強しましたが、やはりよくわからず、信用できる人だと言った夫の言葉を信用するしかありませんでした。

「私の直接の知り合いではないから、そのへんは不安でした。夫に人を見る目があるかと言われると疑わしかったので(笑)」

2週間ほどして、夫が「あと100万あったら必ず利益を出すと彼が言っている」と言い始めました。ここであきらめたら100万円は損してしまう、でもあと100万あれば利益が出る。そう聞けば、損はしたくないとまたつぎ込んでしまうのが人間というものです。

結局、まるまる損をして

イクエさんは結局、さらに100万円を夫に渡しました。夫からは「けっこう儲かっているみたいだよ」と報告を受けたので安心していたのですが……。

「10月半ばでしたか、帰宅した夫の顔が真っ青で。『彼と連絡がとれなくなった』というんです。その日はひっきりなしに携帯で電話をかけていましたが、やはりつながらなかった。いったいどういう友だちなのかと尋ねたら、『飲み屋で知り合ったトレーダーなんだ』と。会社はと聞くと、自分で会社を興していたけれどそちらも電話がつながらないと。ホームページがあったはずだけど、それも見つからなくなっているって。詐欺にあったんですよ。あわてて警察に被害届を出そうとしましたが、夫は証書のようなものをまったくもらっていない。どうしてそんな簡単に人を信用するのよ、と大げんかになりました」

夫はなぜ彼を信用したのか、本当は夫がお金を必要としてウソをついているのではないか。イクエさんの心の中に数々の疑惑が生じました。ただ、夫の憔悴ぶりを見ると、やはり夫自身も騙されていたとしか思えません。

「その後、夫が彼と知り合ったバーに出かけて消息を知ろうとしたんですが、彼はその店の常連でもなかったし、誰も素性を知らなかった。その店で他に騙された人はいなかったようです。どう考えても私は夫が愚かだったとしか思えない」

それ以来、夫婦の関係は最悪の状態だそうです。イクエさんは現在、お弁当屋さんでのアルバイトを週6日に増やしました。時給のいい朝と深夜を中心に必死に働いています。

「夫は意気消沈していますが、できるなら夫にも副業をしてほしい。私が200万稼ぐには、2000時間近く働かないといけないんですよ。2000時間って、不眠不休で80日以上。それわかってるのって先日も夫に愚痴ってしまいました。彼は『ごめん』と言うだけ。お金の問題だけじゃなくて、そうやって根拠もなく人の話に乗ってしまう夫の性格、騙されたとわかってからの夫の落ち込みようにもイライラさせられています。このまま結婚生活を続けていいんだろうかとさえ思うようになってきました」

金の切れ目が縁の切れ目とまでは言わないけれど、夫への信頼感は一気に地に落ちたようです。そして彼女は「そもそもオレの稼いだお金」と今後は言わせないよう、自分の給料は家計には使わず、全額自分の貯金にするつもりで倹約に勤しんでいます。