【日本S】巨人は炭谷を使うべき? 左腕ムーア攻略には左打者が有効か…第3戦のポイント分析

巨人・炭谷銀仁朗(左)とソフトバンクのマット・ムーア【写真:荒川祐史】

巨人先発のサンチェスはビジターで好成績の“外弁慶”

■ソフトバンク – 巨人(日本シリーズ・24日・PayPayドーム)

ソフトバンクと巨人が顔を合わせる「SMBC日本シリーズ2020」は24日に、ソフトバンクの本拠地PayPayドームに舞台を移して第3戦が行われる。2勝0敗としているソフトバンクはマット・ムーア投手、厳しい状況となっている巨人はエンジェル・サンチェス投手が予告先発として公示された。

2連勝で4年連続の日本一へ優位な状況を作ったソフトバンク。一方で厳しい状況に立たされている巨人。双方が助っ人投手を先発に立てる第3戦のポイントはどこにあるか。今季は交流戦もなく、ともに初見の相手となる。両投手の今季の投球データから勝負の鍵を探ってみる。

菅野、今村が先発した2試合で2連敗を喫した巨人の先発はサンチェス。韓国のSKワイバーンズから今季巨人に加入。来日1年目から15試合に登板し、菅野、戸郷に次ぐチーム3位の8勝(4敗)をマークしている。

サンチェスは今季8勝を挙げた内の半分の4勝をビジターでマークしている。敵地では7試合に先発して4勝1敗、防御率1.58。防御率4.71だったホームゲームよりもビジターの試合を得意としている。第3戦はビジターのPayPayドームの開催。初めて投げるマウンドという懸念はあるが、ひとつポジティブなデータと言える。

ベテランの炭谷とバッテリーを組んだ試合が最も好成績を残しているサンチェス

また。ベテランの炭谷銀仁朗捕手とバッテリーを組んだ試合は7試合で4勝2敗、防御率1.73と好結果となっている。40人枠からも外れた小林誠司捕手とは5試合で4勝0敗、防御率4.70。そして第1戦、第2戦で先発マスクを被った試合は3試合で0勝2敗、防御率4.70となる。この相性の良さを買って、第3戦は炭谷にスタメンマスクを被らせるのも一手か。

一方で、右打者に比べて左打者との相性が良くなく、今季は被打率.247、6本塁打を許している。柳田、中村晃といったパ・リーグでも屈指の左打者をどう封じていくかも大事になりそう。また、6回自責点3以内のクオリティスタートは8試合しかなく、QS率は53.3%と高くない。戦い方としてはサンチェスに5、6回まで何とか凌いでもらい、中盤以降はリリーフ陣で繋いでいくことになるか。

ソフトバンクはメジャー54勝の実績を誇るムーアに託す。今季加入したムーアはふくらはぎの肉離れによる離脱こそあったものの、13試合に登板して6勝3敗をマーク。150キロを超える威力ある真っ直ぐを武器とする好投手だ。

ムーアは本拠地PayPayドームで9試合に先発して6勝のうち5勝をマークし、防御率も2.68と上々の成績を残す。本拠地では4失点が最多でしっかりとゲームを作ることが期待できる。

ムーアは左投手だが、左打者の方が好成績を残している

左投手だけに右打者が攻略の鍵となるかと思いきや、意外にもムーアの場合は全くその逆だ。今季は右打者の被打率.197に対して、左打者は.254と明らかに左打者に多く打たれている。被本塁打数は左打者の1本に対して、右打者が6本と多くなっているが、やはり丸や大城、亀井、吉川尚といった左打者が攻略の鍵を握りそうだ。

それはムーアの投球スタイルも影響している。左腕のムーアの最大の武器は150キロ半ばをマークするストレート。それを右打者のインコースにしっかりと投げ込むことができる。さらに内にえぐり込んでくるカットボールもあり、大きなカーブの威力も十分。さらに外に逃げていくチェンジアップも。対角線でインコースに食い込んでくるクロスファイヤーとカットボールでインコースを意識させられた右打者が打ち崩すのは至難の技となるか。

ムーアもサンチェス同様にQS率は53.8%と高くない。両投手ともに5回から6回が1つのメドになるか。リリーフ勝負となると、ここまでリリーフ陣も打ち込まれた巨人より、きっちりと抑えられているソフトバンクが有利になるか。なんとか反撃したい巨人は序盤から得点を奪い、リードした展開にしたいところか。(Full-Count編集部)

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