ロングランヒットの魂を震わす物語。映画「チョコレートドーナツ」で本当の愛の温かさを感じ取って〜。

映画ライターのよしひろまさみちが、今だからこそ観て欲しい映画をご紹介するコラム「まくのうちぃシネマ」第15回目。

12月7日(月)から渋谷PARCO劇場で開幕する『チョコレートドーナツ』。14年に日本で公開され、スマッシュヒットした同名映画の舞台化よん。2021年には上田、宮城、大阪、愛知でも上演が決定している本作、まずは映画の方を見直してみません? ちなみに舞台完成を記念して、12月11日(金)〜24日(木)まで東京・ホワイトシネクイントにて再上映されるのでぜひぜひ〜。

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『チョコレートドーナツ』は、マイノリティ差別問題を取り上げるだけでなく、血縁だけでない家族、薬物問題などなど、70年代を舞台にしながらも、今も根深く残る社会問題が盛りだくさん。とはいえ、社会派っぽい重さはなくて、基本はルディ&ポールとマルコの友愛がベースなので、誰にでも響くのよね。公開当時、監督からは「アメリカでは全然当たらなくて、日本でヒットしたのにはビックリ」と言われたけど、確かに日本でも異例のヒットだったのよ。だって、封切り時はすごく小規模の公開だったんだもの。それが世界初の舞台化につながるほどのメジャーになったのは、嬉しいことよね。

この作品のすごいのは大ラス。ぶっちゃけ、初めて観た時、あまりの急展開&ドン底ぶりに「あたし、何か見逃してる?」と、3回くらい見直したほど。まだ観てない人もいるだろうから、オチは言いませんが、70年代当時アメリカのゲイカップルが置かれた状況を考えてちょうだいな。
あ、ちなみにこの作品が「実話ベース」みたいに書かれた媒体ありますが、それは間違い。あくまで実話はモチーフなの。監督が「70年代のブルックリンで育児放棄された障害児を育てたゲイがいた」という記事を読んだのがきっかけよ。監督曰く「リサーチしてもその後が辿れないほど、ほんと小さい記事だったんだけど、ずっと引っかかってた」だそうです。

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映画:チョコレートドーナツ
ストーリー/79年、カリフォルニア。パフォーマーとしてゲイバーに務めるルディは、検事局のポールと出会い交際をスタート。そんなとき、ルディはアパートの隣室でドラッグ中毒の母親と暮らす少年マルコが、施設に入れられたことを知り……。

監督:トラヴィス・ファイン
出演:アラン・カミング、アイザック・レイヴァ、ギャレット・ディラハント 他
配信:Netflix、U-NEXT 他にて配信中

※舞台版の上演予定は以下の通り/12月7日〜30日(渋谷・PARCO劇場)、1月11日(上田市・サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター大ホール)、1月17日(宮城・仙台銀行ホール イズミティ21大ホール)、1月22日〜25日(大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ)、1月29日〜1月31日(愛知・東海市芸術劇場大ホール)
※映画再上映は、12月11日(金)〜24日(木)まで東京・ホワイトシネクイントにて公開

文/よしひろまさみち Twitter@hannysroom
イラスト/野原くろ Twitter@nohara96

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