スーパー・ハイブリッド・シンガー、松阪ゆうきの6枚目のシングル『遥かな人よ』は、しっとり”令和の叙情歌”

音楽大学で声楽を学び、民謡や演歌・歌謡曲を歌い、過去にはミュージカルの舞台に立ったことも……まさにスーパー・ハイブリッド・シンガーと呼ぶにふさわしい活躍を見せる松阪ゆうき。通算6枚目のシングル『遥かな人よ』では、これまでとは違った一面をみせてくれている。

――新曲『遥かな人よ』は通算6枚目のシングルになりますが、やさしく語りかけるような抒情歌で、これまでの松阪さんのイメージとは違います。

「民謡をやってきたこともあって、これまでは声をパーンと出す歌唱法で歌うことが多かったと思います。でも今回の曲は声を柔らかく使って歌う、これまでとは違ったものになっている。浜圭介先生に書いていただいた3枚目のシングルですが、先生からもいい感じだって言っていただきました。僕自身もすごく歌いやすいですし、声を張る曲ではありませんが、これまであまりやってこなかったソフトな歌声で表現できるいいチャンスをいただいたと思っています」

――ゆったりと大きなスケールで歌われていて、聴いていると余裕が感じられます。

「少し抑え気味に歌っているので、そういう意味では余裕を持って歌っていると言えるかもしれませんね。今までの僕の曲は、けっこう歌うのが難しいというイメージを持たれていたようなんですが、今回は男女問わず、ファンの方々から歌いやすいと言っていただいています」

――歌の舞台が岐阜ですが、どうして岐阜になったんでしょうか。松阪さんは確か三重県のご出身だったと思いますが。

「仕事で三重・愛知・岐阜のいわゆる東海地方に行かせていただくことが多いんですが、特に地元の三重と並んで岐阜はコンサートなどでお邪魔させていただく機会が多く、応援してくださるファンの方もたくさんいらっしゃる場所ということもあり、候補に挙がりました。何より岐阜県には歌になりそうな、いい場所がたくさんありますしね。これまでも『柳ケ瀬ブルース』、『奥飛騨慕情』、『長良川艶歌』と岐阜を舞台にした名曲がたくさん作られていますから」

――リリースされたCDには『遥かな人よ~情熱編~』という歌詞違いのバージョンも収録されています。めずらしいやり方だと思いますが。

「今も話したように岐阜は、歌にしたいような場所がたくさんあって、何なら一曲で9番ぐらいまで作れちゃうんですが(笑)、そういうわけにもいかないので、だったらメインバージョンと別の地名をいれたバージョンを作って、その土地、土地で、ここに行ったらメインバージョン、こっちに行ったら別バージョンって歌い分けたら面白いんじゃないかということになりました。よく歌い方も変えているんですかって聞かれるんですが、自分の中ではあまり意識してはいません。レコーディングの時もメインバージョンを録って、その流れで情熱編も録った感じです。周囲の方々からは歌い方が違うって言われましたけど、自然な流れで歌っただけなんです」

――この曲を歌うにあたって一番、大事にしたことはどんなことですか。

「大事にしたというのとは少し違うかもしれませんが、歌の舞台になった場所に足を運んだことでしょうか。『遥かな人よ』は、メインバージョンと情熱編それぞれ3番までありますが、全部、岐阜県内の違う場所を歌っています。ですから合計6つの市が出てくることになります。メインバージョンは、本巣市、岐阜市、飛騨市、情熱編は山県市、土岐市、郡上市ですが、全部の市を回って、市長さんにもご挨拶させていただきました。これまで歌の舞台になっている場所に伺うことはあまりありませんでしたが、実際に行ってみると、その土地の持っている空気感や暮らしている人、言葉とか、そういうものに触れ合うことで、歌詞に対する感じ方がぜんぜん違ってきたと思います。あそこに白壁があったなとか、鯉が泳いでいたなとか、映像を脳裏にうかべながら歌うと、世界観がはっきりして伝わり方も変わるんじゃないでしょうか」

――ところで松阪さんは民謡からオペラまで、幅広いジャンルの歌を歌っていますが、それぞれの面白味はどんなところにありますか。

「歌を聴いていただく、モノマネで笑っていただく、またミュージカルなどで舞台を楽しんでいただく――これらはみんなエンターテインメントという括りで言えば、共通の世界です。もちろん声の出し方とか表現の仕方とかは違ってきますが、クラシックだからこう、民謡だからこうって、個々に考えることはしません。ですから僕の活動もジャンルを決めずに、とにかく皆さんにいい音楽をお届けできれば、それでいいと思っています。僕には憧れている歌手がいます。イタリアのオペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティさんなんですが、“太陽のテノール”って言われていて、明るいし華やかな声の持ち主。世界中で愛されているオペラの名手ですが、彼もチャリティコンサートなどではポップスやロックなどの洋楽の方々とジャンルを問わず共演しています。それを見ると、ああそういうのいいなって思うんです」

――本当に多才な松阪さんですが、今後の夢やチャレンジしていきたいことはどんなことですか。

「夢は紅白出場ともうひとつ、サントリーホールでフルオーケストラと共演することです。オーケストラというとクラシック演奏やミュージカルのバックで演奏しているイメージがありますが、演歌や民謡とコラボするとどんな風になるか、ジャンルにこだわらないでオーケストラを入れて歌ってみたいです。一方で、例えば民謡なら尺八一本、クラシック曲ならピアノ一台だけで歌うととか、そういうシンプルに音楽を伝えることもやってみたいですね。ステージに自分と楽器だけがあって、シンプルに歌を聴いていただくほうが、もしかしたら伝わるのものがあるかもしれません。役者さんが一人芝居をやるみたいな感じですが、本当に実力がないとできないことだと思いますし、そういう意味では自分にプレッシャーをかけることもできます。表現する人間は、いい意味で緊張感を持ち続けることが大事だと思っています」

――松阪さんの活動の大きな柱のひとつ、民謡の魅力を皆さんに伝えていただけますか。

「民謡は、ある意味、クラシックに通じるところがあると思っています。例えば演歌や歌謡曲は流行歌、大衆娯楽ですが、民謡は昔からその土地に暮らす人たちが歌い継いできた、生活に密着した歌です。クラシックも何百年も前から人々に聴き継がれて今に残っている芸術。そういう共通点は興味深いですね。大学でクラシックを勉強してきましたが、僕は日本人ですから、日本語で日本人の心を表現することに憧れもありました。民謡は僕のルーツを歌うことでもあるんです。僕は、民謡は原田直之先生に師事したんですが、レッスンは、歌詞を見ながら先生の歌を聴いてマネすることから始まります。口伝なんです。そうやって先人の歌を耳で覚えてある程度節回しができるようになって初めて、ここからはあなたの歌い方でいいとなる。どの世界も同じかもしれませんが、基礎ができてそれから崩すことで初めて、その人の歌になるんだと思います」

――最後に、コロナ禍でなかなか会えないファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「なかなかコロナが収束せず、東京から地方に行くことも、逆に東京に来ることもしにくい状況が続いていますが、そんな中でも12月にはディナーショーをやらせていただきます。また、先日もユーチューブで配信されたイベントに出させていただいて歌ってきましたが、そういう機会もなるべく作っていこうと思っています。インスタグラムで、コメントに対して受け答えするようなこともしていますので、ぜひのぞいてみてください。こういう時ではありますが、今後も皆様と触れ合える機会を探しながら頑張っていきますので、機械は苦手(笑)という方もいるかもしれませんが、ネット上でも頑張って僕を見つけてくださいね!」

松阪ゆうきクリスマスディナショー2020

日時;2020年12月16日(水)
開場15:30~/食事16:00~/ショー17:00~

会場:東武ホテルレバント東京(〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-2)

料金:20,000円

ゲスト:日本伝統芸能集団 井坂斗絲幸社中 喜楽座

お問合せ:主催/株式会社オフィスコットン
TEL:03-3760-1115(平日12時~19時)

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