日立ハイテク、リチウムイオン電池の高速劣化診断手法を開発

日立ハイテクは20日、使用中および使用済みのリチウムイオン電池の性能劣化や余寿命を瞬時に評価する「電池劣化高速診断手法」の開発を発表した。

電気自動車(EV)への転換が加速していることを背景に、現在リチウムイオン電池の需要は高まっている状況だ。その一方で、EV用としての性能を発揮できなくなったリチウムイオン電池をフォークリフトやゴルフカート用の電源や、店舗や家庭用の蓄電池として再利用・再製品化される動きが広がっている。しかし、これまでリチウムイオン電池の余寿命を診断するためには、2~4時間が必要だった。今回日立ハイテクが開発した評価手法では、電流や電圧などの時間変化を瞬時に解析し、数秒~2分程度で診断することができるという。

日立製作所の研究開発グループ協力のもと、日立ハイテクは今回の評価手法を研究開発グループ考案のアルゴリズムを用いて開発した。一般的な充放電分析機器でも診断できるため、既に導入済みの機器を生かした計測システムを容易に構築できる。

今回の評価手法の利用法として、日立ハイテクは多くの車両を運用する運送会社、バス、タクシー、レンタカー会社による電池使用状況のモニタリングを挙げた。また、電池の再生工場ラインに今回の評価手法を組み込むことで、リチウムイオン電池の再利用・再製品化の効率がさらに向上すると期待を寄せた。

日立ハイテクは、リチウムイオン電池劣化の分析・可視化を軸にしたデータマネジメント・プラットフォームの創出を通して、EVに使われるリチウムイオン電池のライフサイクル拡張と関連事業者の事業化推進を支援するソリューション事業の展開を目指す方針だ。

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