800銘柄を保有する“億り人”「53の10倍株を探し出した方法」

保有は800銘柄以上、資産億越えでテンバガー(10倍株)通算53銘柄という個人投資家・愛鷹氏がどのようにテンバガーを探しているかを紹介したいと思います。


投資手法は?

基本的には一度買ったら握りっぱなし。「さらにほしい」と思えば買い増し。これを10年も続けていたら“八百株屋”を名乗れるほどの株持ち「多株主」になりました。

一番付き合いの長い株は投資家1年生当時から13年間握ってます。また、株の過半数は5年以上保有しています。

ただし業績がひどく悪化した場合や、優待廃止、無配になれば売り切ることもあります。でも、だいたい私の売ったところが大底で損しっぱなし。そこから10倍以上に上昇した銘柄も。長年株をやっていると全てが上手くいくとは限りません。

このような苦い経験から、私は売買、特に売りが「ド下手」とわかり、以後は株価の上下動に一喜一憂しながらも、応援できる理由がある限りは握り続ける投資道を歩んでいます。

そんな長期間にわたり株を握り続けていますと中には右肩上がりの銘柄も出てきます。買値から最高値時点でのテンバガー(株価10倍)達成は投資生活13年で通算53銘柄になりました。保有約800社のうち53社、つまり約7%の確率で引き当てていることに。

ここで、私の投資道を少し振り返ります。株式投資を始めた当初は株で資産をガッツリ増やして億り人だ!などと意気込んだものの、リーマンショック後の乱高下で資金をすり減らし、塩漬け株が量産され含み損が膨らむ毎日。私の株式投資のデビューは数ヶ月で大赤字となり、最初の数年間は短期売買も手掛けており、日々大きく上下動する株価に振り回され安心して持っている暇もなく、増えるどころかお金も心もすり減らすだけの散々なものでした。短期投資で利鞘を日々抜くのは兼業である私には至難の業。そこで「優待・配当を貰いながら気長に企業を応援しよう」と方針転換してからは黙々と新しい銘柄を増やす日々になりました。

投資スタンスをそのように切り替え保有し続けているうちに100、200と銘柄が増えていき、2015年には億り人となり、2019年には800銘柄を突破。含み益も9桁超となり、結果的に私に合った投資道を歩めていたようです。

テンバガーを当てるには?

「どうすればそんなにテンバガーを当てられるんですか?」

投資仲間やフォロワーの方々からこう質問されることがよくあります。自身の過去のテンバガー銘柄を振り返り、私なりに気付いた点を3つお伝えします。

一点目は**「国策期待」**です。

国策の後押しを受けると税金という資金獲得や各種規制の緩和といった政府の後ろ盾に加え、各省庁や大企業からも協力を受けやすくなります。新しい技術革新や各種インフラ整備に投資されることが多く、未来のインフラになりうるテーマです。特にオンリーワン、ナンバーワンの技術・製品・サービスを開発・提供する銘柄への投資が吉となります。具体的にはKEYENCE、オリエンタルランド、レーザーテックあたりでしょうか。

購入する時期に関しては株価上昇の初動で入れるに越したことはないため、各テーマへのアンテナを常に張り続けるしかありません。情報を精査して己の銘柄センサーを日々研ぎ澄ませていくのです。

二点目は**「時価総額」**です。

株価は「美人投票」の結果です。時価総額が小さい「玉石混淆」の銘柄でも一度人気化し、時価総額が一定額を超えると機関投資家マネーも投入されテンバガーする可能性が高まります。

では基準となる時価総額はいくらとなるか? できれば時価総額300億円以下で買いたいものです。300億円を超えてくると新手の機関投資家の参入余地が大きくなり、一挙に上昇基調に乗ってしまうことがあります。成長する前の「原石」のうちに買っておきたいです。欲を言えば100億円以下で投資できると、新手の機関投資家がほとんどいない状態ですから、さらに上昇余地が大きいことになります。ちなみに300億円以下は約2,300銘柄もあります。

ただ、時価総額300億円以上でもテンバガーにならないとは限りません。オンリーワン・ナンバーワンかつ世の中から継続的な需要が発生する銘柄であれば時価総額を無視して上がり続けます。具体的にはダイキン工業、ダイフク、ソニーが挙げられます。

三点目は**「株式分割」**です。

株式分割は企業が株価を個人投資家にも買いやすい手の届く株価にする施策です。新規の投資家には参戦しやすい最低投資額となり、既存の投資家には分割後に利益確定する機会を与えることになるため株主還元の意図もあります。既存投資家も銘柄に自信があれば買い増しやすくなりますし、資金の少ない投資歴の浅い投資家にとっても分割が続けば、100株持ち続けるだけで2倍、4倍、8倍と株数が増え128分割で10,000株以上の株主になれます。

テンバガーとなった53銘柄のうち株式分割を実施していたのは37銘柄で、最大分割数は64分割でした。また、分割ではありませんが売買単元が500単元から100単元に変わった銘柄を含めると39銘柄です。

過去の傾向からすれば、2分割を2回繰り返し4分割し、これに加えて「好業績」か「成長期待大」が伴えば10倍を超える印象です。具体的にはインフォマート、アイル、イーギャランティあたりでしょうか。

株式分割には上場企業側にもメリットがあります。それは自社株買いをする場合です。株式分割によって買付単価が下がれば自社株買いの原資が少なくても分割前より買い付けしやすくなります。そして過去のテンバガー歴を見直しますと、過去に1度でも株式分割をしているとその後も時間をおいて株式分割される可能性が高いように思います。株式分割は株主を入れ替えつつ更に株主数を増やすには、企業側にとっても業績に自信があれば有効な手段です。


以上3つは絶対条件ではなく、あくまでテンバガーを引き当てる確率を高めるための条件です。投資は資産を増やす確率の高い方法に資金を投下するものです。テンバガーも狙って資産拡大を早めたい場合は、こういった基準も参考に銘柄選びをしてみてはいかがでしょうか。

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