音楽だけじゃない。オーディオテクニカの最新完全ワイヤレスが“万能モデル“な理由

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ついに登場、“真のテレワーク対応”完全ワイヤレス

完全ワイヤレスイヤホンは、ユーザ側からすれば取り回しがよく扱いやすいものだが、設計・製造する側からすると相当な"じゃじゃ馬"だ。

まず、耳栓ほどのサイズにドライバーなどイヤホンとしての基本部分のほか、通信基板とアンプ、バッテリーを格納しなければならない。スマートフォンと組み合わされる前提上、音声通話用にマイクも必須だ。そのうえ周囲の雑音を低減するノイズキャンセリング機能もということになれば、設計難易度はさらに上がる。機能が増しても安易なサイズアップは許されず、それどころかデザイン性も求められる。

そこに降って湧いたコロナ禍。テレワークに必要不可欠なWEB会議/オンラインミーティングは、PCとインターネット回線、WEB会議アプリの利用が大前提。しかし、PCに備え付けのマイクでは周囲の音を拾ってしまうし、内蔵スピーカーから音を出せない状況も大いにありうる。スピーカーとマイクの機能を兼ねる旬のアイテム、完全ワイヤレスイヤホンに白羽の矢が立つのは自然な成り行きだ。

オーディオテクニカが発売する「ATH-CKR70TW」は、こういったニーズを踏まえた完全ワイヤレスイヤホンだ。Sound Realityシリーズの製品だけあって音質追求に妥協がない点はもちろんのこと、フィードフォワード式のアクティブノイズキャンセリング機能を搭載、通話品質改善技術を導入するなど、現在の社会情勢を踏まえたフィーチャーが盛り込まれている。

小さな筐体に様々な部品や技術を搭載しなければならない完全ワイヤレスイヤホン。設計難易度は非常に高い。しかし「ATH-CKR70TW」は、このスマート&コンパクトな筐体にノイキャン機能や高性能マイクを内蔵。音楽試聴からリモートワークまで活躍してくれる“ニューノーマル”なモデルだ

注目すべきは、マイクの活用。ハウジング内部に2基搭載された小型・高性能のMEMSマイクは、アクティブノイズキャンセリングにくわえ、ビームフォーミング技術で話者の口元に向かい指向性を持たせながら収音、その声の帯域を強調することで相手に聞き取りやすくする目的にも使われる。イヤホンといえば基本的に"聴く"ためのデバイスだが、このATH-CKR70TWは"話す"機能にも力点を置いているのだ。

MEMSマイク2基に加え、過去製品で蓄積されたノウハウを活かしたビームフォーミング技術を採用。周囲の音を取り込みつつ、自分の話し声もクリアに届けてくれる。

もちろん音質面もしっかり。専用設計φ5.8mmドライバーは、振動板のセンタードームにDLC(Diamond Like Carbon)コーティングを施し、高域特性向上を狙う。オーディオグレードのルビコン社製PML-CAPコンデンサーは、電流を安定させることでノイズや音歪みの発生を抑えるべく採用された。導管の先端部にステンレス製アコースティックレジスターを設け、空気の流れを最適化することでドライバー本来の性能を引き出すというチューニングも行われている。

オンライン取材で実力を実地検証

ATH-CKR70TWという完全ワイヤレスイヤホンの真骨頂は、趣味(音楽)も仕事(テレワーク)も卒なくこなせる臨機応変さにある。音楽試聴レビューはこちらの記事をご覧いただくとして、本稿ではテレワーク利用におけるATH-CKR70TWの実力を検証してみたい。

声の聞き取りやすさは?騒音の低減度は?

メジャーなビジネスユースPCと簡単にペアリング可能

最初のテストは、ペアリング。MacBook ProとPanasonic Let's note、Microsoft Surfaceの3台を用意し、ペアリングがスムーズに行えるかどうか試してみたが、いずれもあっけないほど短時間で完了した。ATH-CKR70TW本体を充電ケースから取り出すとペアリング開始、あとはPC側で承認する程度で作業は完了する。

使いはじめの設定も、「デバイスを追加する」で検出されたATH-CKR70TWを選択するだけと非常に簡単&スムーズだ。一度設定を行えば、次からはATH-CKR70TW本体を充電ケースから取り出すだけでペアリングしてくれる

複数台の機器登録が可能なマルチペアリングをサポートするから、ふだんはスマートフォンで使い仕事の場面でPCに切り替える、といった使い方にも問題なく対応できるが、他のデバイスとペアリングするときは離れた場所に置いておくこと(そうしないとケースから取り出した直後に再接続してしまう)には留意したい。

MacBook Proのほか、Microsoft Surface(Pro 7)、パナソニックLet's note(LVシリーズ)とも問題なく組み合わせ使用できた

人間の声に“全集中”できる

次なるテストは、PHILE WEB編集部員とのオンラインミーティング。ふだん顔を合わせるのは音元出版のオフィスか企業の発表会場かという間柄だが、面と向かってカメラ越しに話すと少し緊張...ということもなく、至って自然体で打ち合わせはスタート。

両者ともATH-CKR70TWを用意。着けたり外したりしながら実力をチェックした

最初に気付いたのが、相手の声の聞き取りやすさ。声質そのものは、リアルで会うときの声と違うが、声以外の余計な音が気にならない。相手が利用しているデバイスも同じATH-CKR70TW、音の出入口に関するテスト環境は自分と共通。ということは相手も同様に感じているはずだが、念のため訊ねたところ「声に集中できる感じがする」とのこと。

おや、と感じたのは編集部員宅に救急車が近づいたとき。PC内蔵のマイクを使い通話しているときは、思い切りピーポーピーポーという音が聞こえてきて会話が成立しなくなったが、ATH-CKR70TWで通話しているときはほとんど気にならない。人間の声の帯域に"全集中"しているからだろう、「ピーポーピーポー」と聴こえるはずが「...ポー...ポー」(しかもポーの音は小さめ)といった程度になる。

編集部員宅のコンポでいろいろな環境雑音を再生し、通話の妨げにならないかどうかも検証してみたが、いずれも人間の声の帯域だけうまく拾っているように感じた。Bluetooth/HFPプロファイルの音声圧縮処理により、声質の帯域はナローになるが、相手の声を聞き取り会話を滞りなく続けるというオンラインミーティングの本質においては、いい仕事をしているという印象だ。

筆者・編集部とも、周囲の雑音が気にならず、声に集中することができると実感できた。

編集部員も「雑音が混じるなか声を聴き取ろうとすると脳に負担がかかって疲れるが、声が聞き取りやすいとそれが軽減される気がした」と言っていた。

もうひとつ、テストを続ける過程で気付いたのが装着感。先端にマイクを搭載したステム部がやや外部に突き出す形状を採用しているが、片側5gと軽く、耳への負担が少ない。1時間、2時間続くことも少なくないオンラインミーティングでの利用に際しては、見逃せないポイントといえる。なおバッテリーの持ちは、イヤホン単体で音楽再生時で最大約7時間。通話時も同程度使用できるだろう。また約15分の充電で約100分間の連続再生ができるので、ミーティングの合間に充電ケースヘしまっておけばWEB会議が多い日でも安心だ。

マイクに高度なノウハウを持つ会社の手練れた設計

このような“人間の声以外はあまり気にならない”という聞こえかたは、ATH-CKR70TWに採用されているビームフォーミングによるところが大きいと考えられる。それにしても、効果が大きいように思えるが、なにか独自の工夫がなされているのだろうか。

その点をオーディオテクニカに訊いたところ、「通話側マイクを口元に近い筐体先端部に配置し、かつマイクの集音部が口元に向きマイク孔を口元に向かって直線になるように配置しています。このように通話側マイクを配置することにより、マイク孔による音質の欠損を低減したことが集音品質の向上につながりました」(商品開発部・田久保氏)とのこと。なるほど、マイクの配置がビームフォーミングの効果を高めているというわけだ。

通話用マイクの集音部が口元に直線上に向くよう配置することで、集音品質を向上。MEMSマイク&ビームフォーミング技術の力を高めている

クアルコムの技術であるcVc(Clear Voice Capture)の活用もポイントらしく、「風雑音、ロードノイズなど多様なノイズ環境下においても最適な通話性能を確保するため、さまざまな環境下でのテストと改善を繰り返し、cVcのチューニングを徹底的に追い込みました」(商品開発部・森本氏)のだそう。cVcを採用しているワイヤレスイヤホンは少なくないが、声の聞こえかたが違って感じる理由はここにあるようだ。

装着感の軽さについても、「イヤホンのサイズ感と装着感を損なうことなく、ビームフォーミング技術との両立を実現するために、最適なマイクの配置と構造・デザインを繰り返し検討し、何度も試作を行いました。これによりビームフォーミング技術に必要な2つのマイクの間の距離を確保しつつ、装着時に耳に干渉しないデザインに仕上がっています」(商品開発部・田久保氏)とのことで、慎重に設計されたことが伺える。

音声通話対応・テレワーク対応をうたうイヤホン・ヘッドホンが増えているが、設計思想は従前どおりという製品は少なくない。だからこそ、マイクに高度なノウハウを持つオーディオテクニカの手練れた設計がキラリと光る。

"じゃじゃ馬"の完全ワイヤレスをここまで飼い慣らすとは。ATH-CKR70TW、真の意味でのテレワーク対応完全ワイヤレスイヤホンといえそうだ。

(提供:株式会社オーディオテクニカ)