タクシーがマスクをしていない乗客の拒否がOKに 弁護士の見解は

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。11月12日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、弁護士の山岸久朗さんがコロナ禍での“タクシーの乗車拒否問題”について述べました。

◆マスクをしていない客の乗車拒否が可能に!

国土交通省は、マスクを着用していない客の乗車を拒否できると定めたタクシー事業者の運送約款を認可。新型コロナウイルス感染症対策として都内の10事業者が約款の変更を申請していました。今後、対策を強化する動きが全国的に広がる可能性があります。

山岸さんによると、そもそも道路運送法13条では「タクシーは原則的にお客さんを乗車拒否してはいけない」と定められているため、「本来であればマスクをしていないお客さんであっても乗車拒否することはできない」と言います。

しかし、今の世相からして新型コロナの問題は避けて通れず、タクシーは不特定多数の人が乗るものでもあり、乗客から運転手が感染したらクラスターが発生する可能性もあります。そこで今回、マスクをしていない客は拒否してもいいと、大手タクシー会社が結んでいる運送約款を変えたと説明。ただ、これも大前提としてはまずマスクをしていない理由を聞き、マスクを着用できない正当な理由があれば乗車拒否してはいけないことになっていると補足します。

◆現状、マスク着用は必須なものの…

少し前に飛行機でもマスク着用を巡る問題がありましたが、キャスターの宮瀬茉祐子は「やっぱり乗客のみなさんを守るという観点からすると、(乗車・搭乗拒否は)当たり前のことなのかなと思うんですけど……」と見解を示します。

山岸さん自身、感染症対策上マスクが必要なことに疑問はなく、「モラルの問題として、マスクはするべき」と明言する一方で、「だからといって飛行機に黙って乗っている人をマスクをしていないからと降ろすことは、法的に言うと全体の利益のために個人の権利を抑制するだけに、"そこまでやっていいのか”という問題意識をどこかで持っていかないといけないと思う」と悩ましげな様子。

MCの堀潤は運転手側の不安を思いやりつつ、もしも新型コロナに感染してしまった際に労災が下りるのか、ということも気になるよう。これに山岸さんは「下りるとは思う」と返答しつつ、「そういった事後的なことも大切だが、今は(新型コロナに)かからないためにはどうすればいいのかを考えたい」と前向きな意見を提示します。

なお、「道路運送法13条に基づく運送引受義務」では、泥酔者や高速料金を払わない人などは乗車拒否していいという例外もあるそうで、「これは要するに契約。『マスクをしていない人は乗せない』という契約の申し込みがあり、それに対しお客は『マスクをして乗る』という契約なので、今は飲食店も含め規制していいと思う」と今回の問題に対して賛同する山岸さん。

「法律の話でもあるだけに国会でもう一度きちんと整理した方がいいのでは」と堀が提起すると、山岸さんも「道路運送法の改正として議論するべき」と頷きます。その一方で宮瀬は「(換気で)窓を開けるなど、条件でもいろいろ変わってくる。そういうことを考えたら法律だけでは縛れないのかな……」と危惧すると、「難しい問題」と頭を悩ませていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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