「桜」再燃

 総務省のHPにとても平易な記述がある。〈政治家と私たち有権者のつながりはとても大切です。しかし、金銭や品物で関係が培われるようでは、いつまでも明るい選挙、お金のかからない選挙に近づくことはできません〉…テーマは、政治家による選挙区内への寄付行為の禁止▲こちらはとても簡単な算数だ。〈1人当たり1万円以上かかるパーティーの会費を1人5千円しか集めませんでした。参加者は約800人でした。いくら足りませんか〉…簡単と書いたが、暗算では不安な程度に数字の桁が大きい▲不足額を負担したのはどこの誰なのか、公職選挙法との関係はどうなのか。問われているのは、とてもシンプルなお金の動きと、政治に携わる者としての超初歩的なルール▲安倍晋三前首相の後援会が都内のホテルで開いた「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部が安倍氏の公設秘書ら関係者から事情を聴いたことが報じられた▲前首相が「ない」と主張していたホテル側の「明細書」もきちんと存在していて、安倍氏側が費用の一部を補塡(ほてん)した内容が記されているという▲強弁に強弁を重ねて「無理」を通し「道理」を後退させてきた-その政治姿勢が改めて問われようとしている。“居抜き”で後を引き継いだ現政権、知らん顔は許されない。(智)

 


© 株式会社長崎新聞社