地域医療維持へ1億円 西海市 診療所開業、承継に補助金

 西海市は地域医療の維持を図るため、市内で診療所の新規開業や事業承継する医師、医療法人に対し、費用を補助する施策を始める。24日に発表した本年度一般会計補正予算案に事業費として1億円を計上した。27日に開会予定の定例市議会で可決後、運用を始める。市によると、県内の自治体では初の取り組み。
 人口減による医療収益悪化や医師の高齢化で、医療機関の規模縮小や閉鎖が懸念される中、杉澤泰彦市長は昨年8月、基幹的な医療機関や在宅医療体制の整備、医師、看護師の確保、救急搬送時間の短縮などについて市医療検討委員会(田中公朗会長)に諮問。検討委は今月の答申で、現在、市内に18ある医療機関は新設、承継がなければ、医師の高齢化で10年後には約半数になると指摘。医師確保のため新規開業に対する助成制度の構築や、情報通信技術(ICT)を活用した診療記録の共有などを提言した。
 補助事業では診療所の建設やリフォーム、医療機器購入に対して2分の1を補助する。金額は新設で最大5千万円、承継で同3500万円。市内に開業医がいない産婦人科と、乳幼児健診などの医師が不足している小児科は1千万円を上限に増額する。事業費は市の地域振興基金を活用する。
 10年以上診療を続けることや地元医師会への加入、学校医、休日当番医など地域医療に協力することが条件。市の担当者は「制度をつくったことがゴールではなく、周知を進め開業や承継につなげたい。医療従事者のUターンやIターンにもつながれば」と話した。

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