早大・小宮山監督から託された楽天ドラ1早川の育成とは「野球がうまいだけでは…」

楽天から1位指名を受けた早大・早川隆久【写真提供:楽天野球団】

早大・小宮山監督の教え「打者を3球以内に2ストライクに追い込め」でドラフト1位左腕に成長

楽天ドラフト1位の早大・早川隆久投手が24日、都内のホテルで球団と交渉し、契約金1億円、年俸1600万円(金額は推定)で入団に合意。最速155キロ左腕の育成は、元プロでロッテ、横浜(現DeNA)、米大リーグ・メッツで活躍した早大・小宮山悟監督から、楽天・石井一久GM兼監督へと引き継がれる。

小宮山監督からは「まずは体を大事にすること。その上で、プロで活躍することは早稲田大学にとって希望であり、未来の早稲田大学の野球部の選手にもつながる」とハッパをかけられたという早川。昨年1月1日付で就任した小宮山監督から2年間指導を受けたことは、早川の野球人生にとって画期的だったようだ。

「小宮山監督に出会ってから、コントロールの重要性を学びました。『投手は打者を3球以内に2ストライクに追い込むこと。そうすれば被安打率が下がる』と教わりました」と振り返る。

千葉・木更津総合高時代も、最速146キロ左腕として知られていた。3年生の夏の甲子園大会後には高校日本代表に選ばれ、台湾で行われたU-18アジア選手権に出場。当時の投手8人のうち、早川以外の7人が高卒でプロ入りした。作新学院・今井(西武)、広島新庄・堀(日本ハム)、横浜・藤平(楽天)、東邦・藤嶋(中日)らである。

楽天・石井監督「野球がうまいだけではいけない、という教えをしていただいていると思う」

早大進学後、「球速を求めて」コントロールを乱したこともあったが、小宮山監督の指導で制球を重視し先手を取って打者を追い込むことを心掛けて成長。4年生では主将も務めた。今秋の東京六大学リーグでは7試合登板6勝0敗、防御率0.39と入学後最高の成績を挙げ、早大の10季ぶりの優勝の原動力に。球速も格段にアップした。

ちなみに、小宮山監督自身も千葉・芝浦工大柏高卒業後、2浪を経て早大に入学。4年時には主将を務め、1989年ドラフト1位でロッテに入団した右腕である。

一方、ドラフト会議で4球団競合の末、早川の交渉権獲得の当たりクジを引き当てた石井一久GMはその後、来季監督を兼ねることが決まった。小宮山監督とはお互いの評論家時代に会話を交わしたことがあるそうで、「小宮山さんは『野球選手である以前に、一人の人間』という部分をすごく大切にされる方。野球がうまいだけではいけない、という教えをしていただいていると思うので、プロでも継続させていきたい」と語っている。

石井監督は小宮山監督より8歳下だが、日米通算182勝137敗の実績を誇り、同117勝144敗の小宮山監督を上回る。早川と同じ左腕でもある。早川も「(当たりクジを)引いて下さって、いい縁だなと思っています。話しやすい雰囲気を持っておられる」と親しみを感じている様子で、「現役時代はプロで長年にわたって活躍され、奪三振率が高かった印象。自分もそういうピッチャーになりたい」と目を輝かせた。

石井監督は「現役時代の僕よりは勝ってほしい」と語っている。小宮山→石井の“リレー”が史上最強の左腕を生み出すか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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