副業初心者必見!オンラインで完結する在宅事務に必要な準備・コツ

新型コロナウイルスで雇用不安が広がり、給与減や失業リスクを分散しようと副業を始める人が増えています。

副業選びにはコンテンツ販売、ワークショップ講師、写真撮影代行など、クリエイティブな職種が注目されがちですが、一般事務職の経験があれば、すき間時間に自宅のパソコンで事務や経理の仕事を受注するという選択肢もあります。

では、在宅で事務や経理を始めるには、どのようなスキルやツールが必要なのでしょうか。在宅ワーカーや女性起業家向けのセミナーを主催するウーマンネット株式会社の曽根典子さんに教えていただきました。


「副業」か「複業」か…多様化する働き方

曽根さん自身、二児をもうけたことをきっかけに、正社員で約15年間働いていた外資系大手IT企業を辞め、リモートワークやオンラインミーティングを活用したパラレルキャリアの道を歩んでいます。

「私はコロナ禍のタイミングではなく、ライフステージの変化で必要に迫られる形で今の働き方を選びました。結果的に、子どもを見ながら自分の自由な時間も持つこともできています」(ウーマンネット株式会社 曽根典子さん)

だからと言って副業を持つことを全面的に推奨しているわけではなく、副業を始める動機や目的を考慮した方がいいと言います。

「在宅事務や在宅経理の時給の相場は1,000円〜1,200円程度。業務委託は受注する仕事量に波があるので、収入は不安定です。収入面では派遣社員などを検討した方が安定しますし、報酬も高いんです」(曽根さん)

曽根さんによると、本業に対する副業の位置付けは大きく分けて2つ。本業で得られる給料に加えてプラスアルファの収入を得る“サブ”としての『副業』と、さまざまな仕事に挑戦する意欲があり、複数の仕事をかけもちするパラレルキャリアという意味合いの『複業』です。

副業が自分のライフスタイルに合う働き方なのかを、まずは検討してみても良さそうです。

ウーマンネット株式会社 曽根典子さん

副業を始める前にしておきたい準備と心がけ

いよいよ在宅事務や在宅経理を始めようと準備を始めるなら、最低限押さえておきたい項目は下記の3つです。

・業務に必要な機材やツールの用意
・集客に使うSNSの登録やホームページ、ブログの作成
・仕事の管理体制の整備

初期投資するものとしては、作業に十分なスペックを備えたパソコンやプリンター、安定したオンライン会議などが可能なネット環境が必要です。さらに自分が提供する業務内容に応じてExcelや会計ソフトなどを入れておく必要があります。

パソコンを新しく購入するなら、ノートパソコンにディスプレイモニターがあったほうがよいかもしれません。エクセルにデータ入力する作業などは大きなディスプレイの方が見やすいためです。集中して仕事ができるスペースも確保しておきましょう。

次に、自分を売り込んでいくツールとして用意したいのがホームページやブログです。自分が提供できる仕事の内容や使えるオフィスソフト、希望する業務形態、可能な作業時間などを明記しておきます。ランディングページにプロフィールを記載したり、定期的にブログを投稿していくことで人柄をアピールできます。

ホームページやブログは、認知度や信頼性の向上、ブランディングのツールとして使用します。印象を左右するものなので、プロらしいビジュアルを心がけましょう。

ホームページは文章の内容はもちろんのこと、クライアントが見て依頼しやすい導線を想定して作成しましょう。ホームページ作成サービスを利用すれば、デザイナーに依頼しなくても、簡単な操作で本格的なHPを作成することができます。

「プロフィール写真は何度も変更するものではないため、プロのカメラマンに撮影を依頼するといいですね。影が入った微妙な顔写真だと印象も悪くなってしまいます(曽根さん)」

仲介サービスに登録しても、プロフィールページを作成することが多いため、自分のスキルや業績を表現するスキルは必須と言えるでしょう。

さらに規定の就業時間が決まっていない副業を行う際、自分でタイムマネジメントをしなければいけません。

「受託した業務に限らず、自分のメンテナンスの予定なども前々からスケジュールに組み込んでおくとよいです。行ける時に行こうと予定を決めないでいると、ずっと先延ばしになって行く機会を逃しますから(曽根さん)」

スケジューリング次第で自由な時間を作ることができる仕事のスタイルだとはいえ、予定は先延ばししないことが大切かもしれません。

初心者が苦労するのは、「集客」に尽きる

副業を始める際の不安要素として最も大きなウェイトを占めているのは「集客」です。

仕事を受注するためには、まず自分がどんなサービスを提供できるのかを明確にしていく必要があります。これまでのキャリアを振り返り、棚卸していく作業を行なって、自分がアプローチするターゲット層をしっかり把握しましょう。

在宅の事務や経理では、高度なスキルが必須とされるイメージもあるかもしれませんが、実際の募集されている業務のレベルや種類はさまざまです。専門性が高い業務の求人もあれば、資料をスピーディに作成するスキルがいる求人、一方で比較的シンプルな作業がメインの業務もあると言います。

その中で、曽根さんがお勧めするのが、個人事業主からの求人です。個人で事業を始め、業務拡大とともに事務や経理を外注したいというニーズがあるそうです。在宅ワーク初心者の方でも始めやすい内容のものが多いと言います。

「大手クラウドソーシングサイトも含めて、今はいろいろなマッチングサービスが出てきていますが、手数料も安くありません。InstagramやFacebook、Twitterなどに、個人事業主が人材を募集する投稿が掲載されていることがあるので、定期的にチェックしてみてください。(曽根さん)」

また、今はオンラインが主流とはいえ、インターネットが得意ではない事業主も少なくないとか。自分の住む地域の求人チラシをチェックしてみてもよさそうです。

最後に、在宅ワーカーが円滑に仕事を行うためのコツを曽根さんに伺いました。

「在宅ワーカーはコミュニケーションが大切です。基本的に会ってやり取りする機会がないため、勘違いなどでトラブルになることがあります。連絡をこまめに取ることを心がけると、そういった問題は減らせますよ(曽根さん)」

在宅副業で安定して仕事を受注するためには、信頼関係の構築は避けて通れない項目とも言えます。これまでやり取りのあったクライアントなどから紹介してもらい、人づてに新規の依頼を受けるケースもあるそうです。

オフィスに行って行う仕事と同様に、意識的に関係を築く受け応えを行なっていけば、自ずと安定した副業ライフへとつながるでしょう。

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