井筒和幸監督 8年ぶり新作映画でこだわった「昭和」と「16ミリ」

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こだわりを明かした井筒監督

井筒和幸監督の8年ぶりとなる新作映画「無頼」が、新型コロナウイルスによる約7か月の延期を乗り越え、12月12日から公開される。これまで様々なアウトサイダーを描いてきた監督が選んだ題材は「前からやりたかったやくざ映画」だった。

25日、名古屋市内で会見に応じた井筒監督はこう話した。

「好き好んで(貧困な)境遇に生まれてくる人はいない。欲望にまみれた資本主義の社会は、こうした人や問題を必ず内包する。法の裁きは必要だけど、ここに差別があってはいけないんだ」

極貧から裏街道の頂点を目指そうとするあぶれ者たちの群像劇。それを撮るということは、もう一つのキーワードである「昭和」を描き切ることでもあった。

主人公・井藤正治役を演じたのは初代EXILEパフォーマーの松本利夫。抜てき理由は「本当にダンスする人なのっていうぐらい昭和顔していたから」。1956年がスタートという時代背景から、昭和的風景が多く残る岐阜県多治見市や中津川市でロケを行った。俳優たちの着こなしを含め、30~40年代前からタイムスリップしてきたかのような衣装…。中でも極め付きのこだわりが「スーパー16ミリフィルムでの撮影」だ。
「今なんでも合理的、デジタルでしょ。でも16ミリは空気感や味わい、色合いが出せる。昭和感がでるのよ。もうフィルムは誰もやっとらんのですね。自分は最後の1人ですよ」

なぜそこまで昭和に、あぶれ者にこだわるのか。

「今の若い人は欲望がない。これでいいやと思ってる。そうじゃないんだと。ここには生きるヒントがあるんですよ」

ポスターに描かれた「正義を語るな、無頼を生きろ」との文字は内容の説明ではない。監督から若者へのメッセージだ。