【社会人野球】阪神ドラ2のJR東日本・伊藤が2失点完投 同ドラ6・中野封じも「共に頑張っていきたい」

先発したJR東日本・伊藤将司【写真:鳥越涼芳】

先発した伊藤は9回5安打2失点の完投勝利、劇的なサヨナラホームランで決着

25日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会4日目の第3試合で、JR東日本と三菱自動車岡崎が対戦し、JR東日本が劇的なサヨナラホームランで4-2で勝利した。ドラフト会議で阪神から2位指名を受けたJR東日本・伊藤将司投手と、同じく阪神から6位で指名された三菱自動車岡崎・中野拓夢内野手の対戦が実現。伊藤は9回5安打2失点で完投勝利。中野は4打数無安打だったものの、好守が光った。

NTT東日本との代表決定戦で9回1死まで無安打の完ぺきな内容を披露していた伊藤。阪神からドラフト上位で指名されたこともあり、初回から注目が集まっていたが、この日はいきなり先頭打者アーチを浴びるなど不安定な立ち上がりに。精度が売りの変化球がばらつき2回にも1点を失ったが、3回にバッテリーを組む渡辺から「変化球が高い。低めに集めていこう」と声をかけられ、本来の丁寧な投球を取り戻した。

イニングが進むにつれてギアが上がっていき、6回には足元に打球が直撃するも涼しい顔。伊藤は「ちょっと痛かったけど、行けると思った。初回にああいう点の取られ方をしたので、『ここで降りたくない』という気持ちがあった」とマウンドに駆け寄ってきたトレーナーを制し、結局9回まで114球を投げ切った。

阪神から6位指名を受けた三菱自動車岡崎の中野を4打数無安打に封じる

同点で迎えた9回。5番・佐藤拓也外野手が豪快に引っ張った打球は、一瞬でライトスタンドに飛び込むサヨナラ2ランに。JR東日本にとって創部100年の記念にあたる今大会の初戦をサヨナラ勝ちで飾り、2011年以来の優勝に向け最高のスタートを切った。

伊藤のストレートは常時140キロ台前半。決して派手な投球スタイルではないが「自分のピッチングスタイルは打たせて取ること」と自然体を貫く。昨年、年間を通して与四死球率4.331と制球に不安があったが、今年の東京2次予選では0.519に改善。今季の公式戦では、ここ一番での制球力のよさも光る。伊藤の急成長について浜岡武明監督は「投げるボールもいいけど、けん制やフィールディングもよくなった。勝つためになにをするべきか、なにをやってはいけないかをしっかり頭で整理して実戦に活かすことができている」と分析し、太鼓判を押した。

成長著しいエースは、今秋のドラフト会議で阪神から2位で指名され、今大会が社会人野球最後の舞台となる。この日の対戦相手・三菱自動車岡崎には同じく阪神から6位で指名された中野もおり、阪神対決が実現。中野を4打数無安打に封じたが、伊藤は「コーナーに投げてもしっかりと捉えてくる。バッティングがすごくうまいと感じた」と称えた。バットでは快音を残せなかった中野も、遊撃守備では広い守備範囲を活かした好プレーを連発。伊藤は「来年は同じチーム。阪神でともに活躍できるように頑張って行きたいですね」と未来のチームメイトにメッセージを送っていた。(安藤かなみ / Kanami Ando)

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