「核のごみ」に揺れる町を取材。国の原子力政策の現実とは?

HTB北海道テレビで11月29日に「テレメンタリー2020 過疎を取るか 核を取るか~『核のごみ』処分場に揺れるマチ~」(午前10:30、北海道ローカル)がオンエア。テレビ朝日系各局でも随時放送される(https://www.tv-asahi.co.jp/telementary/timetable/)。原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定の文献調査に応募した北海道の二つの小さな町を巡る動きと背景を取材し、日本の原子力政策の現実と問題点に迫るドキュメンタリーだ。ナレーターは元NHKアナウンス室長で現在フリーアナウンサーとして「徹子の部屋」(テレビ朝日系)のナレーションなど、多方面で活躍中の山根基世が担当する。

日本海に面し、水産業が盛んな寿都町と神恵内村。北海道の小さな二つの町に今、注目が集まっている。全国で初めて、原発の使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」最終処分場選定の文献調査受け入れを表明したからだ。

「核のごみ」は数万年にわたり強い放射線を出し続けるため、地下300m以深に貯蔵する「地層処分」が国際的に認められている。ところが、その最終処分場を日本国内のどこに作るのか、いまだ決まっていない。その議論が思わぬ形で動きだしたのは2020年8月中旬のことだった。

「日本の核のごみ問題に一石を投じる」

こう名乗りを上げたのが、北海道寿都町の片岡春雄町長だ。処分場選定に向けた「文献調査」への応募を検討していると表明。住民にとってはまさに「寝耳に水」のことだった。周辺自治体や北海道知事からも懸念や反発の声が上がったが、町長は一貫して応募の姿勢を崩さなかった。念頭にあったのが、調査受け入れで国から支払われる最大 20億円もの交付金だ。

ある住民はこう言い切った。

「過疎を取るか、核を取るか、それだけだ」

急速な人口減少と産業の衰退に直面するマチ。巨額の交付金は魅力的だった。

その1カ月後。まるで足並みをそろえたかのように、同じ日本海に面する神恵内村でも応募検討の動きが急浮上する。泊原発の周辺自治体として長年原発マネーの恩恵を受けてきたが、人口はこの30年で半分以下の800人ほどに減少。町の存続をかけた地元商工会の提案に、反対の声は影をひそめた。

急展開の裏にいったい何があったのか? キーマンの取材から、神恵内村で約10年前から秘密裏に開催されていた「勉強会」の存在が明らかになった。その場には「核のごみ」処分事業を担当するNUMO(原子力発電環境整備機構)の職員も出席していた。

ふるさとの衰退に直面し、選択を迫られる住民たち。そうした過疎地域に「核」を押し付けてきた日本の原子力政策の現実と問題点に迫る。

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