衆院選に勝てば、菅首相「当然続投」

安倍晋三前首相インタビュー(4)

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 安倍長期政権を官房長官として支えた菅義偉氏が首相に就任した。安倍路線の継続を表明し、消費者に身近な政策を打ち出している。一方、日本学術会議の任命拒否問題では野党の追及を受け、国民からも説明不足と受け止められている。菅首相の評価や政局について聴いた。(共同通信=倉本義孝ほか)=4回続き

-菅義偉政権をどう評価しますか。デジタル庁の創設や、携帯電話料金の値下げという消費者に身近な政策を打ち出しています。  

 大変良いスタートを切られたと思いますね。分かりやすい具体的な政策を打ち出している。携帯電話料金の値下げだけでなく、不妊治療の保険適用もそうだ。

 同時に、政府、社会全体のデジタル化推進を大きな柱として、真正面から取り組んでいる。自民党の中で、デジタル分野に最も詳しい平井卓也さんを担当大臣に起用した。行政改革には高い意識の下、河野太郎さんという人物を充てた。あとは成果を出していくことが大切だ。

平井卓也デジタル担当相(左)と河野太郎行革担当相

▽学術会議は特権的

-日本学術会議を巡って、野党が政権批判を強めています。菅首相による会員候補の任命拒否が強権的だという主張です。この問題の本質はどこにあると見ていますか。

 学術会議に毎年10億円国費を投入し、80万人近くいる学者の中から選別して、そういう組織を置く必要があるのかという根本問題を考える良いきっかけになった。学者のコミュニティーの推薦によって、決まっていくのでいいのでしょうかということですよね。非常に特権的なコミュニティーが出来上がっているのではないか。

 新型コロナウイルス感染拡大という重大な出来事の中において、彼らがどういう役割を果たしていたか。一応、考え方は学術会議のホームページに出ているようですが、政府に対して積極的な働き掛けをしなければいけないのではないか。そのホームページを見ろということなのかな。

-今回の任命拒否の経緯は、首相を務めていた時にご存じだったのですか。

 まあ、その当時から議論はあったのだけど、対応は基本的に任せていた。

日本学術会議の建物=東京都港区

▽衆院選は与党過半数で勝利

-衆院議員の任期はもう1年を切っています。2021年には自民党総裁の残り任期を迎えます。菅首相はどうなると見ますか。

 当然、首相続投だと思いますよ。自民党総裁選をやって、圧倒的に菅さんが信任された。その1年後にまた、総裁選挙をやるのか。率直に申し上げてそんな先進国はないですから。

 衆院選で菅首相が勝てば、当然続投だと思いますよ。勝つということは過半数です。今、たまたま相当の議席を自民党は獲得しています。あくまでも勝敗は何議席減ったかとか増えたかという話ではなくて、公明党を加えた与党で過半数を占めれば勝利だと思います。

-次期衆院選の時期に関して、この時期がいいというアドバイスはありますか。

 これはまあ、菅首相が決めることですから。分かりませんね。

-首相は、国政選挙を6連勝しました。その間、衆参ダブル選挙を考えたことはありましたか。

 基本的に、一回一回、真剣勝負なんです。政権を失うかもしれませんし。過半数をとって勝利を得たところで、党内からそろそろ代われという場合だってある。議院内閣制の首相ですから、仕方がない面がある。

 政治の安定というのは本当は、与党で過半数を取ったら、そこで党内ががたがたしないことが大切だと思う。でも私の時は、そう簡単ではなかった。そこで、毎回毎回真剣勝負だった。

衆院選の街頭演説で支持を訴える当時の安倍首相=秋葉原、2017年10月

 衆参ダブル選挙ということは、基本的に考えなかったですね。ダブル選挙のメリットがあるのかを考えた。どうしても参院選は風に流されやすい。参院議員自体、個人後援会がないんでね。

 一方の衆院議員はどうか。中選挙区制のときは多くの自民党の衆院議員が個人後援会を持って活動していた。でも今、当選3回以下の諸君は自分の後援会を持っていない人が多い。党の組織に乗っている。そうした状況で、衆院議員の過半数を、せっかく持っている過半数を参院選で危険にさらすわけにはいかない。

▽同日選のメリットは少ない

-2017年7月2日の都議選は厳しい結果でしたね。

 衆院解散のタイミングで一番難しかったのは、2017年でした。都議選は大敗だったですからね。そこからそう簡単に立て直せるものでもなかったのですが。どんどん、衆院議員の任期が迫ってくる。そうなると、これは追い詰められる形で選挙になりますから。だからタイミングを計った。

-小池百合子さんが立ち上げた「希望の党」を意識しつつ…

 そうですね。

2017年9月25日、記者会見を終え、笑顔で国政新党名を示す東京都の小池百合子知事=都庁

-2016年の参院選の際は、テレビ番組で「同日選をやりたいという気持ちもあった」という発言もされていた。

 非常に強く衆参ダブル選挙を主張した方もおられた。これはやっぱり結構揺れるんですね。しかし、参議院で負けるとねえ。第1次政権の時、2007年の参院選で負け、結局その後、首相退任に至る。ですから、さっき言ったメリットが少ないという結論に至った。最初から全部排除したわけではない。常に選択肢としてはあった。

-世論調査は参考にしたのでしょうか。

 それはそうですよ。不見転(みずてん)ではしません。17年も調査した上で判断しました。

▽再々登板、考えてない

-今後は前首相として、どのように活動していきますか。

 まだ退任をしてから2カ月ちょっとしかたってない。しばらくは、一議員としての活動にとどめたい。

-体調がさらに回復すれば、再々登板は。

 それは考えていないですよ。そういう声もないですから。菅政権が安定的に成果を出せるように協力していきたいと思います。

(共同通信=倉本義孝、小笠原慎二、蒔田浩平、杉田雄心、編集は西野秀)

(終わり)

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